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※読後感の良さはあまり無いと思われます。ご注意下さい とある人里に、年若い夫婦がいた。 夫は優しくて力持ちを体現したかのような働き者で、妻もそんな夫を支える理想的な伴侶だった。 そんな二人の間に子供ができた。それはそれは元気な女の子だった。 ある日の事。 夫は村の男衆と共に、最近現れたと噂される巨大ゆっくり対策のための会合に 妻は近所のお婆さんの家に自家製のお漬物をお裾分けしに行っていた。 赤ん坊はすやすやと昼寝をしていたので、少しの間だしお婆さんの家はすぐ近所だからと妻は赤ん坊を家で寝かせておくことにた。 お裾分けをし、少し話し込んでしまったと妻が早足に家に戻った時だった。 家の中から子供の泣き声が聞こえたので、妻は急いで家にあがっていった。 留守にしている間に起きていて、近くに母親が居ないので泣いていたのか、と。ごめんね、すぐ戻るつもりだったんだよ、今すぐお母さんが行きますからね、と。 妻はそこで信じられないものを見た。 それは妻と同じぐらいの背丈を持つ、巨大なゆっくりれいむ。膨れた下顎が嫌悪感をもたらす薄汚れた饅頭だった。 そして、妻の子供の泣き声が、巨大れいむの口の中から聞こえてくる様だった。 「ゆゆっ? おねぇさん、かってにれいむのゆっくりぷれいすにはいってこないでね!」 妻に気付いた巨大れいむが頬を膨らませて威嚇しながら抗議の声をあげた。 そしてその声に重なって聞こえるは赤ん坊の泣き声。少しくぐもってはいるが、それは間違いなく巨大れいむの口の中から響いていた。 「……返して」 「ゆっ?」 「返して!! 私のっ、私とあの人の赤ちゃん! 返して!! その子を返せっ、化け物!!!」 妻は我を忘れて巨大れいむに飛び掛った。 妻の中にあるのは愛しの我が子を化け物から取り返すということだけ。一刻も早く救い出さなければという思い。 しかし、飛び掛る妻に巨大れいむは体当たりを返した。 双方が正面からぶつかりあった時、重い方が勝つのが道理。背丈は同じでも、横幅が人間よりも太く、中に餡子の詰まった巨大れいむの方が当然強い。 妻は巨大れいむの体当たりを真正面から受けて畳の上にひっくり返った。 「ゆっ! なにいってるのおばさん! このこはれいむがたすけてあげたんだよ! とつぜんあらわれてなんなの? かってにれいむのおうちにはいってきてわけわかんないこといわないでね!」 巨大れいむは倒れた妻にそう吐き捨てると、ドシンと妻の上にのしかかった。 妻はあまりの重さに呻き苦しんだ。骨まで響くかのような落下の衝撃に、呼吸もままならなかった。 「すてられたかわいそうなこのこはれいむがそだててあげるんだよ! れいむならこのこをとってもゆっくりさせてあげられるよ! れいむはこそだてのたつじんなんだよ! らんぼうなおばさんはそこでゆっくりしていってね!」 巨大れいむは妻の上で再び跳ねた。その巨体が再び妻の体を押しつぶす。ミシミシと骨が軋む音がした。 巨大れいむはそれで満足したのか、ボスボスと跳ねながらその場を去っていった。 入ってきた時に壊したのか、無惨な状態になっている障子を更に壊し、縁側から外へ出て行った。 妻はそれを追うことが出来なかった。巨大れいむののしかかりにより、意識を保つこともやっとだったのだ。 立ち上がることもできず、意識を失っていく妻の耳には、我が子の泣き声だけがこびりついていた。 「かえ……して……」 涙を流し呟く妻は、そのまま気を失った。 夫が全てを知ったのは、日が暮れてからだった。 家に帰った夫が見たのは、荒らされた室内と倒れた妻だった。赤ん坊はいなかった。 夫は慌てて妻を抱き起こし、医者へと連れて行った。ケガとしては肋骨が折れていたそうだ。 妻を医者の家で寝かせてもらい、夫はすぐさま我が家へと戻った。赤ん坊を探しに行ったのだ。 しかし、家の中のどこを探しても我が子は見つからなかった。 たまに子供を預かってもらっていた近所のお婆さんの家や親友の家にも行ってみたが、子供の行方は知らないという。 やがて夜が更けた頃、一人の男が夫に妻が目を覚ましたことを告げに来た。 急いで夫は妻のもとへ向かった。 妻は泣いていた。ただ涙を流していた。 夫はどうしたことかと、なにがあったのかと問うた。妻は嗚咽をこらえながら、途切れ途切れに語った。 長い時間をかけて夫は全てを聞いた。 巨大れいむの事。連れ去られた我が子の事。妻が襲われた事。 全てを聞いた男は、すぐさま医者の家を飛び出した。 「おい、お前どこへ行く気だ!」 「決まっている! 巨大ゆっくりを殺して子供を取り返しに行くんだ!」 親友の制止の声も振り払い、夫は鍬と棍棒を持ってゆっくりが多く生息するという森へと向かおうとした。 「待て待て! 相手は人間ほどの大きさもある巨大ゆっくりだぞ! 夜も更けているし、一人じゃ危ない!」 「じゃぁどうしろって言うんだ! 子供は諦めろと言うのかっ!!」 「そうは言っていない! …………待ってろ、今皆に呼びかけてくる」 夫の親友はそう言い残すと里の中心へと走って行った。恐らく里中に今回のことを知らせに、そして巨大ゆっくりの駆除と赤ん坊の奪還を呼びかけに行ったのだろう。 妻の話では巨大れいむは赤ん坊を育てると行っていた。ならばすぐには死んでいないだろう。 だが野生のゆっくりが生息する劣悪な環境に小さな赤ん坊が長く耐えられるとは思えない。 夫は待ってろという親友の言葉を無視して、一人森の中へと駆けていった。 「やべでぇぇぇ!! でいぶのあがじゃんをつぶざないでぇぇぇぇ!!!」 「まりざのあがじゃんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 夫の目の前には子供を潰されて泣き喚いているゆっくりれいむとまりさの番がいる。 そして夫の足元には潰れた子ゆっくりの跡と思われる潰れた餡子があった。 そして夫の手には一匹の子れいむがいた。 「やめちぇぇぇぇ!! はなちちぇぇぇぇぇぇ!!」 じたじたと夫の手の中で身を捩るが、当然逃れられない。夫は子れいむを持つ手をわずかに強くした。 「さぁ、これが最後の子供だ。もう一度聞くぞ。巨大れいむはどこにいる?」 「ぢらないよ゛ぉぉぉ!!! ぞんなゆっぐりでいぶぢらないよ゛ぉぉぉぉ!!」 「ぞんなごどいいがらばりざのあがぢゃんがえぢでねぇぇぇぇ!!!」 「本当に、知らないのか?」 「ぢらないっでばぁぁぁぁぁ!!!」 「やべでっでいっでるでじょぉぉぉぉぉ!!!!」 ブチュリ 子れいむは夫の手の中で潰れ、餡子が飛び散った。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざのっ、ばりざのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 これ以上有益な情報は得られないと判断し、夫は持っていた棍棒で親れいむと親まりさを叩き潰した。 子ゆっくりを一匹ずつ潰す尋問にも関わらず、一切巨大れいむのことについて言わなかったことから、本当に知らないのだろう。 だが、だからと言って生かす理由は無い。もうこの夫の中ではゆっくりはすべからく駆除すべき対象として映っている。 ここでこのゆっくりを逃し、後々巨大ゆっくりにまで成長したら、また同じ悲劇が起こるかもしれないとそう思ったのだ。 自分の子がさらわれたのに他人の子を殺すのはいいのか、と思うかもしれない。 しかし今夫にはまともな思考は残っていない。頭の中にあるのはただ我が子の事だけだ。 いや、たとえ冷静になって思考を取り戻したとしても、変わらないだろう。 相手は人間ではない饅頭だ。それに、もう夫は自分の子供を救うためならば犠牲は厭わないつもりだった。 自分勝手だと、自己中心的だと言いたければ言えばいい。そんなことは百も承知。 夫はもう、ただ、愛すべき我が子を救うためならば、それが障害となるならば人間だって殺しかねない。 「ちくしょう、あの馬鹿! 待ってろって言ったのに!」 夫の親友は松明を持って森の中を駆けていた。その後を同じように数人の青年が続いていく。 親友の呼びかけに、殆どの里の男衆は集まってくれた。人間の子供を攫った害悪な饅頭を駆除し、赤子を救うために集ったのだ。 夜の森は危険だ。里の者達は数人ごとに班を組み各々分かれて巨大れいむと、それに夫を探していた。 一人では夜の森は危険だし、もし巨大れいむに会ったとしても怪我をし、最悪死ぬ恐れもあるのだ。 「お、おい、これって……」 「あぁ、あいつがやってるんだろう」 親友の後に続いていた男が言った言葉に親友は断じる。 男が言及したのは、森の至るところで見られるゆっくりの死骸だった。 木にこびりついた潰れた饅頭。体の半分以上を失い瀕死で呻いている饅頭。 巣だったろう木の洞の中で潰されていた饅頭の一家。地面に散乱している饅頭の死体。 恐らくここだけではないだろう。 その饅頭の死体を辿ってかけていると、前方からうめき声が聞こえた。 「う~」と聞こえたその声に親友は聞き覚えがあった。それは捕食種であるゆっくりれみりゃのものだった。 「おい、今の!」 「あぁ、あっちだ!」 一向は声のする方角へ向けて駆けて行った。 そしてその先で、れみりゃの首を掴んで木におしつけ、片手の棍棒を上に振りかぶっている夫の姿を見つけた。 れみりゃの四肢は潰れ、原型を留めておらず、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。対する夫の顔はまさしく修羅の如し。 「最後にもう一度だけ聞く。巨大れいむは何処だ?」 「うわ゛ぁぁぁ!! じらないんだどぅ~!! れみりゃじらないんだ────」 言葉は途中で潰された。夫が持っていた棍棒でれみりゃの頭を潰したのだ。 ボタボタと返り肉が夫の顔にへばりつく。よく見れば夫は全身に餡子を浴びていた。 夫は持っていた手を離した。両手足頭を潰されたれみりゃの死体は、ボトリと地面に落ちた。夫も持っていた棍棒を取り落とした。 一向はその光景にしばらく言葉を失っていたが、親友がいち早く正気に戻ると夫に詰め寄った。 「おい、お前! 一人で行くなって──」 「───だよ」 「え?」 「いないんだよ……、見つからないだよ……、あいつが……」 「…………」 「あいつが通った跡も見つからない! 森のゆっくりは何も知らない! あの子の助けの声も聞こえない! あの子はきっと泣いている! 助けを呼んでいる! 助けてって、お父さん助けてって! なのに、なのに俺は!!」 「落ち着け、落ち着けって!!」 静かにつぶやいてから唐突に暴れだした夫をなんとか親友は押さえつけて押し留めようとした。 しかしあまりにも強い夫の力に振り払われ、がむしゃらに振るっていた拳に顔を殴られた。構わず再び押さえつけようとする。 他の男達もそれでようやく我に帰ったのか夫を押さえつけようとする。 「くそ! ド饅頭め!! 薄汚れたクズ饅頭め!! 返せ!! あの子を返せ!! 殺してやる!! 貴様だけはっ、いや、貴様らだけはっ!!!!」 「だから落ち着け!! 頭を冷やせ! 見つかるものも見つからない! これだけ暗いと探せない! 明日、明日陽が昇ったら里の皆で探すから! まずは落ち着け!!」 「これが落ち着いていられるか!!!」 夫は押さえつける男たちを力任せに振り払い、落ちていた落ちていた棍棒を持って夜の森へ駆けていった。 その後も親友達は男を捜したが、見つからず、あまりにも夜が更けていたので仕方なく一度里に戻った。 そして翌朝。里の男衆が捜索隊を結成し、いざ探しに行かんとしたその時だった。 森の中から、全身餡子まみれで、餡子にまみれた棍棒をひきずりながら夫が帰ってきた。 「いない、いない……」と呟きながら、目は前を見ていなかった。 親友は慌てて夫に駆け寄ったが、夫はその場で倒れた。極度の疲労で体力の限界だったのだ。 その後夫は医者のもとに預け、一向は森へ巨大れいむと赤ん坊を探しに行った。 夫の側には妻がついていた。 しかし、その後一日中探し回ったが、巨大れいむは見つからなかった。 それから一ヶ月、ほぼ毎日捜索隊が結成され、捜索範囲を広げながらも捜索は続いた。 さすがに里の男衆全員とまではいかず、日替わり交代での捜索隊だったが。 そしてその間夫は、一日も休むことなく森や山に入り巨大れいむを探し、毎日餡子まみれになって帰ってきた。 だんだんとその頬はこけていき、体も心も病んでいるように親友には見えた。 「おい、お前大丈夫か?」 「あぁ、大丈夫だ。今にも苦しんでるあの子のことを思えば、これぐらい……」 そう応える夫の目は焦点があっておらず、虚ろだった。 「殺してやるさ。全部。そうさ、全部のゆっくりを根絶やしにしていけば、いずれ会える。 いつか、絶対に見つけ出して殺してやるさ。あぁ、そうさ、全部だ」 そう言う夫の視線は、完全に親友には向いてなかった。誰に言ったのか、己に言ったのか、ゆっくりに向けて言ったのか。 夫は、完全にゆっくりに心囚われていた。 二人揃って里への帰り道を歩いていると、目前にゆっくりまりさが現れた。 それは夫の腰のあたりまでの大きさを誇るやや巨大なゆっくりだった。 「ゆゆっ!? 人間っ!?」 こちらに気付いたゆっくりまりさは逃げようとした。恐らく、近隣のゆっくり達が殺されまわっていることを知っているのだろう。 住処を移動させる途中だったのかもしれない。 親友は巨大れいむのことについて訊こうとした。だが、親友が反応するより早く夫が先に動いていた。 一瞬で逃げるまりさに追いついた夫は、棍棒を振るい、まりさを横合いから殴りつけた。 「ゆぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」 痛みに転げまわるまりさ。夫はそのまりさの動きを、棍棒で底部を貫くことで止めた。 「巨大れいむは何処だ? 言え」 「ゆ゛っ゛!? なんの゛ごどぉぉぉぉ!?」 「とぼけるな。人間程の大きさの巨大なゆっくりれいむだ」 「まりざ、じらないよ!! ぞんなれいむ゛みだごどもぎいだごどもない゛よぉぉぉ!?」 「本当か? 言わないとお前のためにならないぞ」 「だがらじらないっで────」 潰された。夫は棍棒を引き抜くと無慈悲にまりさの頭を叩き潰した。一撃でまりさは絶命した。 「…………お、おい」 「畜生……」 「…………」 「なんでだよ……。なんで、見つからないんだよ、畜生……」 立ち尽くしたままボロボロと涙を流す夫に、親友はかける言葉が見つからなかった。 その次の日、夫は姿を消した。二度と戻ってこなかった。 きっと、巨大れいむと、我が子を探しに行ったのだろう。 そして六年後、その子供は帰ってきた。親友はまるで奇跡だと思った。 遠い里で一人の青年が見つけたというその子供は、全ての行動においてゆっくりを真似た、まさしくゆっくりに育てられた状態だった。 それでも、生きて戻って来たことに里の者達は皆喜んだ。ただ、その中にその子の父親の姿はなかった。 親友はきっと、夫の執念が奇跡を起こしたのだと、そう思った。 ───────── あとがきのようなもの 思考停止。餡子脳と言われるかと思いますが、私は今回キングれいむをこのようなゆっくりとして書きました。 そしてこの物語はフィクションです これまでに書いたもの ゆっくり合戦 ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 byキノコ馬 このSSに感想を付ける
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ゆっくりわさび 家に帰宅するなり、自分を迎えてくれたのは無残にも散らかされた部屋と 開けっ放しの冷蔵庫、そして水道の水がジャーと音を立てたまま流れ続けている。 そして部屋の奥で笑顔の紅白の饅頭だった。 「ゆ? ここはれいむのおうちだよ、ゆっくりしていってね!」 と言い出す、お饅頭。 これは、ゆっくりという生物らしく、見た目は人の顔だをした生き物だ。 このゆっくりは、ゆっくりれいむという種族で、赤いリボンをしているのが特徴。 それからゆっくり達の顔は、みんな女の子の顔をしており髪の毛もしっかりついている ゆっくりの赤ちゃん達も生まれながらに髪の毛と、種族がれいむならリボンも付いているらしい。 「おじさんはだれ? ここはれいむのおうちだからかってにはいらないでね」 人の家に無断で侵入しておいて、よくもまあそんな事が口から出てくるものだ これが動物ならば家の主が帰ってくれば一目散に逃げ出すのだろうが このゆっくりという種族は知能をもち、人語を話す、動物と違い会話ができる知能がある。 しかしその中途半端な知能は人間にも動物にも圧倒的に劣る。そのアホな知能のお陰で大抵のゆっくり達は長生きができないのだ なぜかって? どんなに悪事を重ねても(ゆっくり達に善悪はわからない)満面の笑顔で。 「ゆっくりしていってね!」などとほざく。 善悪が分からないということは可哀想といえば可哀想だ。 とりあえず俺は、ゆっくりれいむを無視して部屋の片付けに取り掛かった。 まずは出っぱなしの水道を止める。けっこうキツめにひねっておく。 次は部屋の片づけだ。 本棚からあふれ出された本を片付ける、いくつかはページやカバーをやぶり捨てられている 多分、食物と思いページを食べたのだろう。 食べられないと分かると、はき捨てたページと思われる、ゆっくりが吐き出した胃液でぐちゃぐちゃになっている塊が そこら中に散らばっている。 それらを一つ一つ、手に取り、ゴミ箱に捨てる。 もちろんゴミ箱もご丁寧に倒されてあり、中のゴミが散らばっている。 そのゴミも一緒に、さっきのページの塊と一緒にいれていく。 ゆっくりのよだれと見られる白い液も雑巾で拭いていく。 その様子にゆっくりれいむは、この男が部屋の片付けに来てくれたのだと思いこう言う 「おじさん、れいむのおうちをきれいにしてくれてるんだね、ありがとう」 ほう、勘違いしているとはいえ、ゆっくりもお礼を言うことくらいはできるのか 「でもきれいにしたらでていってね、ここはれいむのおうちだから れいむがひとりでゆっくりするよ」 やれやれ、前言撤回だ。 このゆっくりという生き物は、自己中心的で自分の事しか考えられないらしい この性格が災いして、黙っていればそこそこ可愛いかもしれないのに、人の怒りに触れてしまう その結果、殺されてしまう。 こういえば怒るとか喜ぶとかがよく分かっていないらしい 完全に自分のルールの中だけで生きているのだ、子供のうちは仕方ないかもしれないが、大人になっても こうであるのだからどうしようもない。まあ、ゆっくりだしね。でもやっぱり喋るのがいくない。 この喋る機能のせいで、大抵の人の神経を逆撫でしてしまうのだ。 そして最後に開けっ放しの冷蔵庫を見る。 中に入っていたものは食い散らかされ、見るも無残な姿になっている。 倒れて、ぼたぼたと中身が流れている紙パックのオレンジジュース、牛乳 潰れた卵パック、袋を破り捨てて食ったと思われる、ハムやウィンナー 野菜も全滅。 どの野菜も不味い茎や根っこの部分だけご丁寧に残っている。 はぁ… と冷蔵庫を閉めようと思った俺は冷蔵庫の奥に残っているものを発見した。 「こ、これは… わさびじゃねーか!」 前に刺身用に勝ってきた新品のわさびである。 なぜ新品かというと、大抵の刺身にはわさびも一緒にくっついてくるものなのだ。 だから使わずに新品だった、それだけ事なのだ。 そのわさびを見つめ、俺は面白い事を考えた。 このゆっくりに天国と地獄を見せてやろうと。 後ろを振り向きゆっくりれいむの方を向く。 「おうちがきれいになったよ ありがとう おじさんはもうでていってね」 まだそんな事を言ってやがる、まぁいいや、俺はゆっくりにある提案を持ちかけた。 「ごめんな、ここはれいむのお家だったんだよな、でもおじさんも帰るおうちがないからここに住まわしてほしいんだよ」 ぷぅーと顔を膨らませこう言い返す。 「だめだよ、ここはれいむだけのおうちだもん ゆっくりするのはれいむだけだよ」 なんという自己中饅頭だ。 仕方ないので条件を出すことにした。 「じゃあおじさんがいまから美味しい食べ物を持ってきてあげる だから一日だけでいいから泊めて、お願い」 その条件を聞き、ゆっくりれいむの顔つきが変わった。 「おいしいものくれるの、じゃあいいよ でもあしたになったらでていってね」 ちゃっかり明日には出て行けといい忘れない所にゆっくりの自己中心な性格を感じる。 そして俺は、ゆっくりに占領された我が家を出て、夜のコンビニに向かった。 「いらっしゃいませー」 コンビニに着いた俺は、早足で目的の商品を買う。 目的の商品は、わさび二つと、抹茶アイス二つだった。 「ありがとうございましたー」 商品を店員から受け取ると急いで家へと向かう。 家のドアを空けるなり、ゆっくりれいむが近寄ってきた。 「おじさんおかえり! はやくおいしいものたべたいよ!」 ぽよんぽよんとゴムボールのように跳ねまわり、よだれを垂らしながら俺の持っているコンビニの袋に飛びつこうとする。 「まだ駄目だよ、この食べ物はよーく冷やさないとおいしくないんだ、今食べたらおいしくないぞ」 そう俺に諭されゆっくりは残念そうに袋をみる 「ゆぅ… わかったよ がまんするね」 とりあえず買ってきたわさびとアイスを冷蔵庫に入れる。アイスだけは溶けないように冷蔵庫の一番上の冷凍庫に入れる。 ちなみにこの段は何も入っていなかったのでゆっくりに襲われずにすんだ場所である。 それ以前にゆっくりの跳躍では一番上まで届かないということでもあるが。 とりあえずよく冷えるまで一時間程度置いてみる事にした。 その間また何かされては困るので、監視もかねて、ゆっくりれいむと遊んであげる事にした。 そして一時間後 買った時よりもよく冷えた、わさびとアイス。 これを別々に同じ容器に入れる。透明なガラスの容器なの冷たさを一層引き立たせる。 遠目で見ると一見同じ、抹茶アイスだが片方はわさびの塊である。 チューブのわさびを二本まるまる使ってできた一品である。 「これでよし… と」 思わず口元がにやける、これから始める悪戯に対して、いい歳しつつもワクワクしてしまうのだ。 最初に抹茶アイスの方だけをゆっくりれいむの方へ持っていく。 「これが美味しいアイスっていう食べ物だよ」 ゆっくりれいむの目には、コンビニの抹茶アイスが輝いて見える。 冷たそうで美味しそう。透明な器に入れてあるのでより一層そう感じる。 初めて見る食べ物に、ゆっくりれいむの口元からはよだれがだらだら溢れてきていた。 「まずは俺が一口」 ぱくっとスプーンでアイスを口に運ぶ俺。 感想は、まぁ抹茶アイスですね… くらいか それを見たゆっくりれいむは自分にも早く早くとばかりに、ぴょんぴょんとアイスに食いつこうと跳ねる跳ねる。 「おじさん! はやくれいむにもそれちょうだい ゆっくりはやくたべたいよ」 ゆっくりはやくという言葉の意味はわからなかったが、スプーンで一口すくい、ゆっくりれいむの口に入れてやる。 ゆっくりれいむの口の中に広がる、極上の冷たく甘い刺激! 一口のアイスを何度も下で転がし味わいまくる。 「しあわせー!!!」 たった一口のアイスを思い切り味わったゆっくりれいむの表情はご満悦といった感じだった。 「おじさん! もっとちょうだい! もっとゆっくりたべたいよ!」 きらきらした目と表情で、もっとよこせと訴えてくるゆっくりれいむ 「いいよ、全部食べなよ」 俺はそう言って残りのアイスを全部あげることにした。 「ゆっくりいただきまーす!!!」 物凄い勢いで、器の中に頭を突っ込みむしゃむしゃとアイスを頬張るゆっくりれいむ。 こんな汚い食べ方は動物でもしないだろう。見ていて哀れにしか見えない。 あっという間にアイスを感触し、満足そうなゆっくりれいむ。 ゆっくりゆっくり言ってる癖にゆっくり食べるという頭はないのだろうか。 ゆっくりれいむは俺の方を向きこう言う。 「おじさん! もっとないの! もっとたべたいよ! いますぐもってきてね!」 そう来ると思った。俺はすぐに準備してあったわさびアイスを持ってくる。 「はいはい、ちゃあんと準備してあるよ」 ゆっくりれいむの傍に、わさびアイスを置く。 「いただきまーす!!!」 おかわりのアイスを目の前にゆっくりれいむは、抹茶アイスではないわさびアイスに飛びつく。 思い切り大きな口を開け、わさびのアイスを丸呑みだ 「やった!」 思わず口から喜びの声が漏れる。ついにこの馬鹿饅頭にわさびの塊を食わせる事ができた。 これからどうなるのか? 考えただけでぞくぞくしてくる。 「ん…? なんだかこれへんなあじがするよ さっきのとはちがうよおいしくないよ」 バカタレめ、食い意地はって一口で丸呑みにするからだ。 全部食ってからようやく気付きやがった。しかしもう遅い! 数秒後、ゆっくりの表情がみるみるうちに変わっていく 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ぐぢのなががからいよ! めがいたいよ!」 ついにわさびの効果がきき始めてきたか。 ゆっくりれいむは目から顔から大量の涙と汗をたれ流し、のたうち回りはじめた。 「うげえええ!!! ぶぅうぅおえええええええええええええええええええ!!!」 口を大きく広げ、なんとか食べたわさびを吐き出そうとする、ゆっくりれいむだが、既にわさびは消化済みらしい 「いだい!いだい!いだいよ おくちがいだいおおおおおおお!!!」 目からは涙は止まらない、いや顔全体から液という液が垂れ流しになっている状態だ。 このままでは自分は死ぬと悟ったゆっくりれいむは、のたうちまわるのをやめ、ある場所へと突撃した。 その場所とは水道である。この危機を打破する為には水を飲むしかないと判断したのだろう。 「みずぅ!! おびずうううううう!!!」 物凄い形相で水道の方へ飛び跳ねていくゆっくりれいむ。 だが、そんな簡単にいかせるわけにはいかない。 「そうはいくか!」 俺はすかさず、後ろからゆっくりれいむを掴み、壁に叩きつけた。 「うぶぇ!!!」 壁に投げられずりずりとすり落ちていくゆっくりれいむだが、口の辛さと、目の痛さがそれを許さなかった。 すぐさま起き上がり、水道へと網突進を開始する。 「びず!!! びずぅううううう!!!」 「オラァ!」 またまたすかさず、飛び上がった隙を狙う。 「ぶふぅ!!」 飛び上がったゆっくりれいむを殴りつける俺。もちろん全力ではない。 それでもゆっくりに対してはかなりの威力があったらしく、殴られた勢いでぼよんぼよんと床を何回もバウンドし叩きつけられた。 「ゆ… ゆぅ…」 今ので結構なダメージらしくなかなか起き上がってこない。相当に顔にもダメージを受けている。 だが、目の痛さと口の辛さは休むのを許してくれなかった。 「ゆぅぅぅ!! ゆっぐりどいてねぇえええ!!!」 修羅のような顔で、三度目の突撃を開始する、ゆっくりれいむ。 もはや、ゆっくりれいむには水道しか見えていない。 そして俺は、水道を守護する門番な気分になっていた。 飛んできては、殴り、投げ、殴り、投げの繰り返し。 それでも、ゆっくりれいむは水道に行くのをあきらめなかった。 「ゆっぐり!どいてよぉおおおおお!!!」 「おみず! のませでぇええええええ!!!」 「ほんどに ほんどにじんじゃうううう!!!」 根気負けという奴だろうか、俺はついに水道への道を開けてやる事にした。 「しょうがない、俺の負けだ 早く行けよ」 「おびずぅぅぅ!!!」 真っ赤な顔をして一目散に水道へと向かう、ゆっくりれいむ。 もはや、ゆっくりれいむの顔は限界に来ていた。 口の中の感触がまるでない、焼け爛れたようにジンジン痛みが襲ってくる。 眼球が飛び出そうだ、涙も枯れ果てている。 一歩、一歩、水道が近づいてくる。 そして、水道の真下までたどり着いた。後はこの上まで飛び上がるだけだ。 ゆっくりれいむは最後の力を振り絞り、大きな跳躍を見せ、見事水道の蛇口まで飛び上がった。 そして、蛇口をひねれば水が出るという事を知っていた、ゆっくりれいむは蛇口に口を挟み、ひねり始めた。 「む゛ー!!! む゛ー!!!」 必死に蛇口を回そうとするが、一向に回る様子がない蛇口。 どうして? どうして回らないの? と涙は出ずとも、悲しい表情のまま蛇口を必死にひねり続ける。 なぜ回らないのかというと、別に特別な仕掛けを仕掛けたわけでもなく、きつめに捻っておいただけだ。 しかしゆっくり程度の口の力ではまわすことも適わない。 「む゛ー!!! む゛ー!!!」 ぷはっと口を離してしまい、そのまま水道の流し台にすっぽりはまる、ゆっくりれいむ。 なんともお似合いの格好だ。これが便器だったらさぞや面白い光景だったろう。 「どうじで… どうじでまわらないの!!」 すっぽり水道にはまった、ゆっくりれいむを上から見下ろす俺。 「どうしたんだよ? 早く水を飲まないと本当に死ぬぞ」 にやにやした顔つきで、ゆっくりれいむに状況を聞いてみる。 「おじざん… だめだよ じゃぐちがあかないよ… おねがいだよ じゃぐぢをひねってね!」」 ここに来て、俺を頼ってきたか。仕方ない俺は鬼でも天狗でもない、助けてやろう。 もちろん条件つきでな。 「とりあえず、ゆっくりれいむよ、ここは俺の家だ、それだけはまず最初に認めてもらう」 「ゆぅ… わかったよ ここはおじさんのいえだよ… だからはやくじゃぐちを」 もはや反抗する気力もないのか条件を認める、ゆっくりれいむ、なんがか張り合いがないな。 「次に、散々人の家を散らかした罰だとして、しばらく働いてもらうからな」 「わかった わかったよぅ だからはやくおみずを… おびずをください!!」 条件に承諾したのを確認したので、俺は蛇口を思い切りひねった。 ジャアアアアーーー! 勢いよく冷たい水が噴出してくる。 その真下にいた、ゆっくりれいむに水がどばっと落ちてくる。 「おびずぅぅぅ!!!」 大きな口を限界まで広げ、冷たい水がわさびで腫れた口を癒してくれる。 もちろん顔中に水はかかるので、目にも潤いがすこしづつではあるが戻ってくる。 しばらくそれを見ていると、真っ赤に腫れていたゆっくりれいむの顔が普通の肌色に戻っていく。 顔色が良くなったのを確認すると蛇口の口を逆にひねり水を止める。 「ゆぅー」 命が助かったのを顔全体で安心しているのか、ゆっくりれいむの表情は非常に穏やかだった。 「良かったな、お水が飲めて、飲ませてやったんだから、明日かたは俺の言うことに従ってもらうぞ」 「ゆ? おじさんなにいってるの? ここはれいむのおうちだよ、おじさんはでていってね」 なんという事だ。この饅頭は、つい数分前の約束すら覚えていない。 それも自分に都合の悪いことは全て忘れる、どうしようもない脳みそを持ってやがる。 「ゆっくりでていってね おじさんはきらいだよ」」 … やれやれだ、俺は冷蔵庫に向かい、最後のわさびチューブを取り出す。 そして、水道にすっぽりはまっている、馬鹿饅頭の元へと戻っていく。 「おじさん はやくでていってね まずいものをたべさせる おじさんはだいきらいだよ」 身動きが取れないその状態でよくもそんなセリフが吐けるものだ。 つくづくこの馬鹿饅頭に感心させられる。 「口を開けろ」 そう俺はゆっくりれいむに命じた。 「ゆ? またおみずをくれるんだね! ゆっくりあけるよ」 馬鹿でかい口を、あーんとばかりに大きく開ける。 「今度はゆっくり味わってね」 わさびチューブをゆっくりれいむの舌や口の中に塗りつける。そりゃあもうべっとりと。 「じゃあな、俺は出て行くよ さよなら」 水道にはまったゆっくりれいむを後にし、俺は家を一旦出た。 何かを自分の舌や口の中に塗られた気がしたが、男が居なくなって、ご満悦のゆっくりれいむ。 「ようやくゆっくりできるね… ゆっ!」 再び先程の悪夢が蘇る。 口の中が大火事だ、眼球が燃えそうに熱い、汗が止まらない。 「ゆびゅおあああああああ!!!」 すぐに真上にある、蛇口をひねろうとするが、なんと自分ははまって動けない。 んーんー! と精一杯の力で脱出を図ろうとするが全然取れない。 その間にも、顔の中から地獄の業火のような痛みが続く。 「おぼぇえええええええええ!!! おじざん!!おじざん! じゃぐちをひねってぇえええ!!!」 しかしそこにはもう男の姿はない。それに自分が今さっきでていってねと催促したのではないか、今更遅い。 「うぶぉああああああああああああ!!! だずけでぇええええええええええええええええええ!!!」 その声を俺は玄関の外から聞いていた、もう少し、ゆっくり慎重に言葉を選ぶ餡子があればこうはならなかった のになと心の中で不遇に思った。 ゆっくりれいむは絶命する直前に幻覚を見た。 他のゆっくり達が綺麗な水のあるオアシスでゆっくりしているのに、自分だけは終わりのない灼熱の砂漠でさ迷っている。 どんなに足掻いても、オアシスには辿り着けずに永遠に砂漠をさ迷う自分。 その幻覚はそのまま今の現実に直結していた。 ほんのすぐ真上にある蛇口、しかし自分ははまっていて身動きがとれない。 水のあるオアシスの入り口は目の前だというのに。 「ゆぅー ゆぅー ゆぅ… ゆぅ」 息もたえたえになって意識が薄れてきた、それでも顔の中からの激痛はやまない。 もうこのまま死にたいが、激痛がまだ、死につれていってはくれなかった。 目はもはや眼球が飛び出そうだ、ぶちゅぶちゅと眼球の間から、中の餡子がちょっとずつ出てきている。 「いだいよぉおおお!! いだいよぉおおお!!」 ひたすら叫ぶのを繰り返す、ゆっくりれいむ、でも助けは誰も来ない。 「だれかだずげでぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」 そして三時間後、俺は、ゆっくりれいむの悲鳴だけを聞くのも飽きたので友達の家へ遊びに行っていた。 帰宅して早速、洗面所を見にいく。 すると、燃え尽きたような黒い饅頭がすっぽり水道の流しにはまっているではないか、やはりこのまま絶命したか。 本当に心から哀れな生き物だと思い、その黒い饅頭の残骸を生ゴミ袋に捨てた。 自分の事ばかり考えて生きてきた結果がこれだよ! ゆっくりわさび 終 ゆっくりにわさびを食わせたらどうなるんだろうと、考えたSSです。 もちろん自分は、大量のわさびなんぞ食った事ないので、大量のわさびを食べた生物がどうなるのかなんぞ 知りません。 すべて自分の想像です。 でも多分、死ぬんだろうな・・・ このSSに感想を付ける
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「盲導ゆっくり」(前編) 「ゆ!!まりさはこっちだよ!!ゆっくりついてきてね!!」 「あぁ、そっちだね。わかったよ」 目を瞑ったままのお兄さんが、黒い帽子をかぶった金髪のゆっくり―――ゆっくりまりさについていく。 その足取りはスムーズではあるが、どこか普通とは違う。そんな違和感を感じさせるものだった。 草原に近い道を抜け、小さな門をくぐり、庭の中央を抜けて、まりさとお兄さんは立ち止まる。 「おうちについたよ!!ゆっくりかぎをあけてね!!」 「ちょっと待ってくれな」 まりさが家の玄関にたどり着いたことを告げると、お兄さんは既に手の中に握っていた鍵で解錠し、扉を開いた。 その後も、まりさの先導に従って家の中にあがりこむ。 ここまでくればもうまりさの案内は必要ない。かれこれ10年も暮らしている家だから。 「おつかれさま!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりするよ。あ、ちょっと待ってな。お前に食べ物をもってくるからね」 「ゆ!!おにーさんありがとう!!ゆっくりまってるね!!」 まりさに繋がった紐を手放すと、お兄さんはゆっくりと台所へ向かう。 お兄さんの目線と同じ高さにある戸棚の扉を開けると、手探りで何かを探し始めた。 目当てのものを探り当てると、それをもってまりさのいる部屋へと戻り、手馴れた動作で袋を破ってその中身をまりさに与えた。 「ほら、お食べ」 「ゆっ!!くっきーだね!!ゆっくりいただきます!!」 はふはふと、獣のようにクッキーを貪り食うまりさ。 とてもゆっくりした、とても幸せそうな表情だが――― 「むーしゃむーしゃ♪しあわせー♪」 ―――その表情は、お兄さんには見えていない。 お兄さんは、いつも真っ暗な世界の中にいた。 朝目覚めてから、夜眠るまで。一日中、何をする時も、彼は暗黒の世界の中にいた。 目の前に誰がいて、誰がいなくて、何があって、何がないのか。彼は視覚以外の情報でそれを探るしかない。 いつからこうなったのかは、良く覚えている。 その日までは、普通に全てが見えていたのだから。 しかし、ある日突然……彼は、光の届かない世界で生活することになった。 そんな彼の補助をするのが、盲導ゆっくりであるゆっくりまりさだ。 盲導ゆっくりは、盲導犬と同じように視覚障害者を安全に快適に誘導するものである。 利点や欠点はいろいろあるのだが、一番の利点は言葉が通じること。 犬以上に意思疎通が容易であり、訓練次第では盲導犬以上のレベルの高い補助が期待できる。 その分訓練には時間を要するのだが、それは今後の研究で改善されるだろう。 「ゆーん♪ゆっくりおいしいよ!!」 「美味しいか。それはよかった」 お兄さんはクッキーを頬張るまりさの帽子を脱がし、頭を撫でてやる。 まりさは嫌がる素振りは見せず、お兄さんに撫でられながらクッキーを食べ続けた。 「おにいさん!!まりさはおにーさんのおかげでとてもゆっくりできるよ!! これからもゆっくりしていってね!!まりさがゆっくりさせてあげるからね!!」 「あぁ、ありがとう。ゆっくりさせてもらうよ」 盲導ゆっくりと付き合っていくコツは、とにかくゆっくりさせてやることだ。 家に帰ったら食べ物を与え、ゆっくりさせる。夜には風呂に入れてやり、清潔にしてやることも必要だ。 面倒に思えることだが、こうした毎日の積み重ねによって更に忠実な盲導ゆっくりとなる。 盲導ゆっくりは、自分をゆっくりさせてくれる人を全力でゆっくりさせようとするのだ。 そんなお兄さんとまりさの微笑ましいやり取りを、2匹のゆっくりが丘の上から眺めている。 盲導ゆっくりとは別のゆっくりまりさと、ゆっくりぱちゅりーだ。 窓ガラス越しに見る家の中の様子は、とても見づらい。 だが、家の中のまりさがとてもゆっくりしていることだけはわかったようで、まりさは地団太を踏みながら叫んだ。 美味しい食べ物を与えられ、頭を撫でられ、快適な室内でゆっくりしているのが羨ましいのだろう。 「ゆっ!!あいつだけずるいよ!!まりさもゆっくりしたいのに!!にんげんのたべものがたべたいよ!!」 まりさは、人間の食べ物が普段食べている雑草とは比べ物にならないくらい美味しいということを知っていた。 一度だけ道端に落ちていた煎餅を食べた事があり、そのときの衝撃は今でも餡子脳に焼きついたままだ。 「むきゅ!!でもにんげんのいえにはいるのはきけんよ!!ゆっくりできないわ!!」 ぱちゅりーの忠告はもっともなものだ。 事実、まりさの仲間も人間の家を襲撃した事があったが、一家根絶やしにされ二度と帰ってこなかった。 だからまりさは慎重になる。策なしに飛び込むのは、人間に殺されるために行くようなものだから。 「でもいいほうほうがあるわ!!むきゅん!!」 「ゆっ!?ほんとう!?ゆっくりおしえてね!!」 胸を張るぱちゅりーに、まりさは詰め寄る。 ぱちゅりーはにやっと微笑みながら、自慢げに説明を続けた。 「むこうのまりさといっしょにいるニンゲンは、じつはめがみえないのよ!!まちがいないわ!!」 「ゆっ!!そうなの!?」 ぱちゅりーは、先ほどまでのお兄さんとまりさの様子から、お兄さんの視力が殆どないことを察知していたのだ。 それに気づいていなかったまりさは、意外な事実に驚きの声を上げる。 「だからむこうのまりさといれかわっても、ニンゲンはきづかないわ!!」 「ゆっ!!すごいよ!!さすがぱちゅりーだね!!」 「むきゅきゅん!!むきゅん!!」 まりさは、これ以上ない名案だと思った。 あの人間の目が見えないのであれば、向こうのまりさと入れ替わっても気づくわけがない。 見たところ、向こうのまりさは弱そうだ。ひとりで外に出てきたときにやっつけて、そのまりさになりすませば…… 人間にまったく気づかれることなく入れ替わり、毎日思う存分ゆっくりする事が出来る。 今、幸せそうにゆっくりしている“あの”まりさが、自分になるのだ! 「ゆっへっへ!!それならゆっくりできるね!!あいつだけゆっくりするなんてずるいもんね!!」 まりさは、その家へと跳びはねていく。早速、例のまりさを待ち伏せするのだろう。 そんなまりさを、ぱちゅりーは無言で見送った。 植木の陰に隠れて、まりさは盲導まりさが家から出てくるのを待っている。 葉と葉の隙間からじっと玄関の扉を凝視し始めてから、かれこれ30分が経過した。 「ゆっ!!はやくでてきてね!!ゆっくりしすぎだよ!!ぷんぷん!!」 すぐに姿を現すだろうと思い込んでいたまりさにとって、この待ち時間は苦痛でしかなかった。 その苦痛の原因を、家から出てこない盲導まりさに押し付ける自己中心的な思考は、ゆっくりの典型である。 「もうおこったよ!!さっさとでてきてね!!」 お兄さんの家に怒鳴り込もうと、草の陰から飛び出した……その時。 玄関の扉の下。そこのゆっくり用出入り口から、盲導まりさが出てきた。 「ゆっくりいってきます!!」 どうやらお兄さんに買い物を頼まれたらしく、単独での外出のようだ。 頭に紐がつながれておらず、その代わりに飼いゆっくり最高ランクであるゴールドバッジと、盲導ゆっくりであることを示すプレートが帽子に固定してある。 プレートが斜めにくっついているのは、お兄さんの目が見えていない証拠だろうか。 盲導まりさはゆっゆっ♪と歌いながら、里の市場へと向かい始めた。 が、そんなビッグチャンスをまりさが逃すわけがない。 「ゆっ!!ゆっくりとまってね!!」 「ゆゆ?ゆっくりしていってね!!まりさはゆっくりできるひと?」 突然の呼びかけに、盲導まりさは立ち止まってゆっくり流の挨拶をする。 まりさは挨拶を返すことなく、大きな口を開けて盲導まりさに飛び掛った。 「おまえはいままでゆっくりしすぎたよ!!こんどはまりさがゆっくりするばんだよ!!」 「ゆゆっ!?なにをするの!?ゆっくりやめてね!!」 まりさは、盲導まりさの帽子をすばやく取り去ると、それを咥えたまま丘の上へと駆けていく。 「ゆっ!!まりさのぼうしをかえしてね!!ぼうしがないとゆっくりできないよ!!」 いくら訓練を受けた盲導ゆっくりとはいえ、帽子を失うことは怖い。その恐怖は克服できないのだ。 必死の形相で、盲導まりさは帽子を奪ったまりさを追いかける。 「ゆっへっへ!!まりさにおいつくわけないでしょ!!ばかなの!?」 「ゆっくりまってね!!まりさのぼうしをかえしてね!!ゆっくりとまってよおおおおお!!!」 下品に笑いながら丘を登るまりさ。それを追う盲導まりさの目には、大粒の涙が浮かんでいる。 両者とも体格がほぼ同じなので、一度開いた差を縮めるのは困難だ。 それでも盲導まりさは必死に追い縋り、少しずつ2匹の距離は狭まってきている。 盲導まりさの目に、一層力がこもった。 「ゆっ!!ゆっくりおこったよ!!まりさはぼうしをはなしてゆっくりしんでね!!」 あと一歩というところまで迫ったとき、盲導まりさは大きく飛び上がった。渾身の力を振り絞った体当たりである。 しかし、その体当たりはあっさり回避されてしまい、ぶるんと身体を震わせながら何もないところに着地した。 その隙を、このまりさは見逃さなかった。 「ゆっくりしつこいよ!!ゆっくりしね!!」 丘の上から、丘の下へと。盲導まりさを突き飛ばす。 上から下へ。ファンタジーの塊であるゆっくりも、物理の原則には逆らえない。 重力に引っ張られるまま、盲導まりさは坂をごろごろ下り始めた。 「ゆびあああああああああ!!!どまっでええぇええぇぇええええ!!!」 「ゆひゃひゃ!!ゆっくりしんでね!!まりさがゆっくりするからね!!」 ゆっくりは総じて転がりやすい体型なので、一度勢いがついたら止まらない。 盲導まりさが丘のふもとまで転がっていく様を、まりさはゲラゲラ笑いながら眺めている。 そして…… 「いびゃっ!?」 運が悪いことに、盲導まりさは大木に正面衝突し……餡子を吐き出して、動かなくなった。 「ゆっへっへ!!まりさをゆっくりさせないのがいけないんだよ!!あのよでゆっくりこうかいしてね!!」 丘の上から本物が死ぬ様を見ていたまりさは、器用に舌を使って本物から奪った帽子を被った。 まりさは、玄関の前にやってきた。 扉の下にあるゆっくり専用の出入り口から、勢い良く家の中に飛び込む。 「ゆっくりかえってきたよ!!」 「あぁ、おかえり。かなり早かったね」 お兄さんは、奥の部屋のベッドに腰掛けていた。 まりさは彼の顔を見上げるが、お兄さんは目を閉じたまま開こうとしない。 どうやら、ぱちゅりーが言っていた事は本当らしい。これなら、自分は存分にゆっくり出来る。 そう確信したまりさに、お兄さんは問いかけた。 「さぁ、買ってきたものを出してくれるかな?」 「ゆ!?かってきたもの?なにそれ!!ゆっくりできるの!?」 浅はかな発言だった。ここは無理やりにでも、お兄さんの会話に合わせるべきだった。 それを思いつかないあたり、まりさの餡子脳はある意味とてもゆっくりしていた。 「ん?何言ってるんだ?さっき買い物を頼んだだろう?帰ってきたってことは、もう買い物を済ませたんじゃないのか?」 「ゆっ!?ゆゆゆ?………ゆっくりわすれちゃったよ!!」 このまりさ、別にお兄さんの話に合わせたわけではない。本当に忘れたと思っているのだ。 買い物を頼んだ?頼まれた覚えはない。でもお兄さんは頼んだといっている。 あれ?そうだっけ……そういえば頼まれような気もする―――という具合である。 本当は買い物など一度も頼まれてないのに、まりさの頭の中では頼まれた買い物を忘れてしまったということになっているのだ。 「おいおい、君らしくないなぁ。いつもならしっかり買い物してきてくれるのに」 「ゆゆゆ…ゆっくりごめんね!!それよりまりさをゆっくりさせてね!!」 「……え?」 お兄さんは、まりさの言葉を聞いて固まってしまった。 何かまずい事を言ってしまったのだろうか?と、まりさはちょっとだけ不安になった。 だが、偽者だと気づかれてしまったのではないか、という考えはそこにはない。 だって、この人間は目が見えないのだから。一生偽者だと気づかないまま、自分をゆっくりさせてくれる存在なのだから。 その思い込みが、まりさの思考を停止させていた。 「ゆゆ?どうしたの?ゆっくりさせてね!!まりさはゆっくりしたいよ!!」 「……しょうがないな。で、お前は何がしたいんだい?」 呆れたような声で、お兄さんはまりさに問いかける。 まりさはぱあっと嬉しそうな顔をして、明るい声で答えた。 「おかしがたべたいよ!!おかしをよういしてね!!」 「そうかそうか、でもお兄さんは何も見えないからお菓子を用意できないんだ。自分で取りに行ってくれるかな?」 「ゆっ!?し、しょうがないね!!ゆっくりじぶんでとりにいくよ!!」 お兄さんに指差された方向―――台所へ、まりさは跳ねていく。 台所が、人間の食料が保管されている場所だということは知っているが、自分の目的のものがどこにあるかはわからなかった。 来た道を引き返して、不機嫌そうにお兄さんを見上げるまりさ。 「おかしはどこなの?ゆっくりわからないよ!!」 「え?わからない?おいおい……今日の昼に教えたばかりだろう?」 「ゆ?ゆゆゆゆゆ……?」 どうやら、本物の盲導ゆっくりはお菓子の場所を教わっていたらしい。 「うーん、ここまでダメになるなんて……別の盲導ゆっくりに変えてもらおうかな」 「ゆ!?ゆっくりやめてね!!おかしのばしょをおもいだしたよ!!だからまりさをおいださないでね!?」 さすがの低脳饅頭も、お兄さんの言葉に込められた不穏な雰囲気は読み取れたようだ。 せっかくゆっくりできる環境を手に入れたのに、追い出されてしまっては全てが水の泡になってしまう。 まりさは咄嗟に取り繕って、再び台所へと向かった。 お兄さんにはああ言ったが、結局のところまりさはお菓子の場所が分からない。 自分の視界に入る小さな扉などは全て開き、中に潜り込んで漁り放題漁ったが…… 見つかるのは缶詰やインスタント食品など、お菓子でないばかりか自力で封を開けることもできないものばかり。 結果として、まりさは頭上の戸棚に収まったお菓子を見つけることは出来なかった。 そこに戸棚があることすら、気づかなかった。 「まりさ?どうだ?お菓子は美味しいかい?」 「ゆ!?ゆ…ゆゆゆゆ、ゆっくりおいしいよ!!しあわせー♪」 「あぁ、それはよかった。あとで出かけるから、そのときまでゆっくりしてなさい」 隣の部屋からのお兄さんの呼びかけに、まりさは慌てて答えを返す。 もし、ここでお菓子が見つからなかったことを言えば、ここを追い出されてしまうかもしれない。 それだけは避けたかったまりさは、お菓子を見つけたフリをすることにした。 「ゆっくりするね!!………ゆぅん…」 そのあと、しらみつぶしに台所の中を探して回るが、結局お菓子は見つからなかった。 お兄さんに連れられて―――ではなく、お兄さんを連れて里の市場へと向かうまりさ。 まりさの頭には盲導ゆっくり用の紐が固定されており、その紐の端はお兄さんの左手が握っている。 最初、頭に巻きついた紐が窮屈で嫌がったまりさだったが、 「別のゆっくりに変えてもらおうかな……」 の一言であっさり受け入れることにした。 里の市場に到着する頃には、まりさは自らの頭を締め付ける紐の存在をすっかり忘れてしまっていた。 「えーと、まずは……八百屋だな。まりさ、いつもの八百屋に連れていってくれるかな?」 「ゆ?やおや?それってゆっくりできるの?」 「ん?忘れたのか?またかよ……今日はどうしちゃったんだ?」 本物の盲導ゆっくりなら、八百屋の場所を覚えているはず。 だが、当然ながらこのまりさは覚えていない。八百屋なんて言葉自体、初めて耳にしたものだ。 「ふぅ、しょうがないな。どこでもいいから、お野菜が売られてるお店に連れてってくれ」 「ゆっ!おやさいがあるところにいくんだね!!ゆっくりりかいしたよ!!」 まりさは視界を上のほうに保ったまま、大通りをぴょんぴょん跳ねて進み始めた。 紐を握った手を引かれて、お兄さんもそのあとをついていく。 「ゆっ!ゆっ!おやさい!おやさい!」 まりさは気づいていなかった。自分が野菜がどんなものなのかを知らない、という事に。 今まで人間の畑など襲った事がないまりさは、野生に存在する質素な雑草は知っていても、人間が作った野菜は見た事がないのだ。 当然ながら、八百屋は見つからない。あっても気づかない。3メートル離れたところにある八百屋の前を、躊躇いなく素通りする。 それどころか、まりさは市場の外へ……まったく見当違いの方向へ向かっていた。 「ゆっ!!ゆっくりみつからないよ!!」 「そんなはずはないさ。お野菜を売ってる店なんて、沢山あるよ」 そう、一般人向けに開かれた市場なのだから、野菜を売ってる店が目に入らないほうがおかしいのだ。 でも見つからない。まりさは、見つけられない。八百屋が分からない。野菜が分からない。 そしてとうとう人里から抜けてしまい、周りには建物も人も何もない……大きな木々に取り囲まれた場所まで来てしまった。 「ゆああぁぁぁぁぁああぁん!!!どおじでえぇええっぇえぇぇ!!!おやさいがみづがならいいいいいぃぃぃいぃ!!!」 「………はぁ」 お兄さんは大きなため息をつくと、まりさの頭に繋がった紐をくいっと引っ張った。 「もういい。帰ろう」 「ゆっ?おうちでゆっくりするの!?」 まりさの泣き顔が、一瞬で笑顔に変わった。 変なところを連れまわされたが、やっとおうちでゆっくりできる―――大方そんな風に考えているのだろう。 「そうだね。まりさも今日は調子が悪いみたいだし」 「ゆっ!?ゆ、ゆゆっゆゆ、ゆっくりごめんね!!まりさちょうしがわるいんだよ!!あしたはゆっくりできるから――― 「いいからいいから。気にしないで、今日はもう帰って休もう」 まりさは自分が捨てられてしまうのではないかと思い、大慌てで弁解するがお兄さんはそれを制した。 ここまでの道中ずっとしかめっ面だったお兄さんは、やさしい言葉と共にまりさに微笑みかける。 それを見て、まりさは確信した。 このバカな人間は、ずっと自分をゆっくりさせてくれる。 目が見えない。それだけじゃない。この人間はバカだ! これだけ失敗を重ねても、自分が偽者だということに気づかない。 ゆっくりでも気づくのに、この人間は気づかない。バカなの?死ぬの? (ゆっへっへ!!このにんげんはばかだね!!まりさはとてもゆっくりできるよ!!) まりさは、これから未来永劫自分をゆっくりさせてくれるであろうお兄さんを連れて、来た道を戻っていった。 (続く) 作:避妊ありすの人
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ここに文字を入力注意書き: 某4コママンガを参考にしています。詳細は文末に示します。 秋も深まり、山々はすっかり紅葉で覆われ、少し肌寒い風が吹き抜けていく。 そんな日々、市場で買い物を終え自宅へ向かう途中のこと、 獣道を歩く僕の前に一匹のゆっくりれいむが立ちはだかった。 高さ40cm余り、横幅は60cmにもなるかなり成長した個体のようだ。 この獣道、普段は殆ど人が通らない場所で、言ってみれば秘密の近道ってとこかな。 「ゆゆ!おにいさん?こっからさきはれいむのおうちだよ! とおるにはゆっくりつうこうりょうをはらっていってね!!!」 「通行料?具体的には何が欲しいのかな?」 「ゆ、ゆーん… れ、れいむにおいしいおはなさんをおいていってね!!!」 「なんだ…花か。ほれよ。」 「ゆゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 相手するのも面倒だったので、僕は買い物袋の中からハーブをれいむに差し出すと、 足早に先へ進もうとした。なぜか右足が重い。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! こ、これだけじゃつうこうりょうがたりないよ!ゆっくりはらっていってね!!!」 なんと右足にれいむがしがみついて来たのだ。 ゆっくりにしては珍しい行動だったので再び問いかける。 「今度は何が欲しいと言うのかね?」 「ゆ!? ゆーん… ゆっくりあまあまのおさとうをちょうだいね!!!」 「なんだ…砂糖か。ほれよ。」 「ゆぐっ…! むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 「じゃあ僕は先に進むからね。」 僕は買い物袋から角砂糖とカリン糖を十数個差し出し、この場を後にしようとした。 再び右足に荷重がかかる。 「そ、そこからさきにはゆっくりすすまないでね!!! ま、まだつうこうりょうがたりないよ!!!ゆっくりはらっていってね!!!」 いくらゆっくりとは言え欲張りな行動である。 「今度は一体何が欲しいと言うのかな?」 「ゆゆ!? ゆーんゆーん… れいむにゆっくりはちみつさんをちょうだいね!!! もしはちみつさんがないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「蜂蜜か…。ほれよ。」 「ゆゆゆ!?どおじておにいさんはちみつさんなんかもってるの!!!」 「れいむがくれっていったんだろ?」 「ゆぐっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあわぜー!」 「今度こそ僕は先に進むからね。」 再び重くなる左足。何か他に理由があると言うのか…? 「ぞ、ぞごがらざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ま゙、まだまだづうごおりょおがたりないよ!!!ゆっぐじはらっでいっでね!!!」 「欲張りなれいむだね。今度は何が欲しいのかい?」 「ゆがっ・・!?ゆう・・・ゆーん・・・ れ、れいむにゆっくりあまあまなくりーむをちょうだいね!!! もしもっていないのならゆっくりひきかえしてね!!!」 「クリームか…。ほれよ。」 僕は買い物袋の中からコンデンスミルクを取り出すと、れいむの口に注ぎ込んでやった。 甘ければいい。細かいことはわからないだろう。 「ゆがっ!?どぼじでおに゙いざんぐぢーむなんがも゙っでるの!!!」 「れいむがちょうだいっていったんだろ?」 「ゆががっ…! むーじゃ、むーじゃ、じあ゙わ゙ぜーー!!!」 とは言いつつも両目からぼろぼろと大粒の涙をこぼしている。 気にせず先に進もうとすると 「だ、だべなんだがらね!!!ごのざぎにはゆっぐじずずまないでね!!! ゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 またしても右足にしがみつくれいむ。食べ物が目的じゃないとすると、 この先には相当大事なものでもあるというのか? 「こっち行かないとお兄さんは帰れないんだけどなぁ?」 「ざ、ざぎにずずむならゆっぐじでいぶにづうごおりょおをはらっでいっでね!!!」 「でいぶのお遊びに付き合ってる暇なんか無いんだけどなぁ…。ゆっくりどいていってね!!!」 「ゆがっ!? でいぶにゆっぐじおでんじじゅーずをぢょおだいね!!! ないならゆっぐじひぎがえじでいっでね!!!」 「お兄さんのおうちにはオレンジジュースがたくさんあるよ? 通してくれたらでいぶに分けてあげてもいいけど?」 「や、やっぱりだべだよ!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!!ゆっぐじひぎがえじでね!!! ごごがらはでいぶのおうぢだよ!!!ゆっぐじごっぢごな゙いでね!!!」 もう「でいぶ」に構うのも飽きたので、無視して歩みを進める。 すると前方の草むらの中、木の根元の穴から伸びるオレンジ色の塊が姿を現した。 ゆっくりの卵である。 握り拳よりやや小さいゼリー状の塊が蛇のように連なり、見えているだけでも数百は下らない。 恐らくは巣の中で卵を産みつけていたが収まりきらず、外まではみ出したってところだ。 一つ一つの形状は縦に長く昆虫の卵のようでもあり、長く長く連なる様子は蛙のそれを彷彿とさせる。 よく見ると内部に非常に小さいながらもゆっくりらしき姿が見て取れた。 「ははぁー…こういう訳だったのかぁ。」 「やべでね!ゆっぐじやべでね!!!でいぶのかわいいごどもにでをだざないでね!!!」 「ふーん…」 それだけ言うと僕は、卵の群れの一角に塩を振りかけ始めた。 浸透圧により見る見るうちに卵がしぼんでゆく。 「やべでえええええ!!!でいぶのおぢびぢゃんになにずるのおおおおおお!!! ゆっぐじやべでいっでね!!!ゆっぐじやべでえええええええ!!!」 れいむは卵の前に立ちはだかり、塩をこれ以上子供たちに浴びせまいと大きく口を広げた。 「ゆっぎゃあああ!!!でいぶのおめめがっ!いだいよ゙おおおおおおおおお!!! でいぶのおぐぢがぁああああああああ!!!ゆっぐじやべでえええええ!!!」 目や口などの粘膜に塩がかかるたび、れいむは悲痛な叫びを上げた。 体が大きめなだけあってその叫びも一段と大きい。余計に敵を呼び寄せてもおかしくはない。 「ほーら、今度はこっちだ。おいしいお塩をあげるからねー♪」 オレンジ色のゼリーは塩と触れると直ちに縮み始め、こげ茶色の塊へと変貌していく。 「やべで、やべでよおおおおおお!!! でいぶのおぢびちゃんはおじおなんでいだないぼおおおおおお!!!」 れいむは満身創痍ながら卵の前で塩を受けとめようと必死にかけずり回る。 「でいぶのおぐぢが、おぐぢがゆっぐじでぎないよ゙おおぉぉおおおおおお!!! おにいざんはゆっぐじやべでね、ゆっぐじやべでいっでね!!!」 両目から滝のように涙を流しているが、それでも諦めようとはしなかった。 ふと視界に蜂蜜色の物体が飛び込んだ。 近寄ってみると息を荒げるゆっくりありすであった。面白いことを思いついたぞ…! 「ゆふー、ゆふー、れいむのこえがきこえるわ!!!どこなのお? ありずがずっぎりざぜであげるよおおおおおおおお!!!」 「やぁやぁとかいはのありすちゃん。」 「ゆゆ?とかいはのありすはいまいそがしーのよぉ?おにいさんはてみじかによーをすませなさいよ?」 「そのれいむのとこにつれてってあげようとおもってさ。」 「ゆほっ!?べ、べつにありすはれいむのことなんてどおでもいいのよ? でもおにいさんがつれてってくれるっていうならのってあげてもいいわよ?」 ありすは顔を赤らめ涎を垂らしながら答える。その顔、本心がわかりやすく見て取れる。 僕ももちろんそのつもりだ。 ありすを抱きかかえ足早にれいむの元へと向かう。 「ゆっほおおおおおお!?れいむのかわいいたまごがたくさんあるわ!!! みてるだけですっきりしちゃうわあああああ!!!すっきりー♪」 ありすから放たれた乳白色の粘液に卵の一角が覆われていく。 「やべでええええ!!!すきなひとじゃないとあかちゃんのもとかけちゃだべえええええ!!!」 「ありすのためにこんなにたくさんよういしてくれたのね!!! れいむってつんでれねえええええ!!!」 「だべえええええ!!!れいむのだいすきなまりさじゃないとだべええええ!!! ゆっぐじやべでいっでね!ゆっぐじやべでええええええ!!!」 「そのまりさってのは、こいつの事かな?」 「ゆがっ!?ま゙、ま゙、ま゙り゙ざぁあああああぁああああ!!!」 数十分前のことだ。市場を後にし藪森へ歩みを進めようとした頃―― 「こっからはまりさのてりとりーなんだぜ!!!おにいさんはゆっくりあっちへいけだぜ!!!」 「ここをとおらないとお兄さんおうちに帰れないんだけどなあ?」 目の前にこれまた60cmもあろうかという大きなゆっくりまりさが立ちはだかった。 無視して先へ進もうとすると… どかっ! 尻に鈍い痛みが走る。まりさの体当たりだ。 重さも相当なため思わずよろけてしまう。 「まりさのたいあたりなのぜ!これにこりたらゆっくりむこうへいけなのぜ!!!」 まりさは僕の前に回り込んで自慢げに語りだす。 「ほぉおお? 向こうへ行かなかったらどうするのかなぁ?」 「ゆがっ!?と、とにかくこっからはすすませないだぜええええええ!」 まりさが再び体当たりを仕掛けてくる。 一歩横によけてみる。ゆっくりにしては速いがかすりもしない。 案の定まりさの勢いは止まらず向こう側の木に突進し、盛大に全身を打ち付ける。 「ゆがっ…!ゆ・・・ゆぐぅ・・・」 「おーい?いきてるかー?」 まりさは白目を向き天を仰いでいる。もっとも枝葉に覆われ空を拝むことはできないのだが。 「あーあ、見事に伸びちまったなぁ。しゃーない、持って帰ってやるとするか。」 僕は背負っていた篭にまりさを放り込み、その場を後にした。 「ゆ…ゆーん・・・ ゆゆっ!?ここはどこなのぜ?」 「ま、まりさ!?きがついたのね!!! みてみて!!!れいむね、いっぱいおちびちゃんうんだんだよおおおお!!!」 「れ、れいむううううう!!!よくがんばっただぜえええ!!!」 「でもこのありすとそのおにいさんがゆっくりできないんだよ!!!」 「ゆゆゆ!?ゆっくりできないおにいさんとありすはゆるさないのぜええええ!!!」 まりさは近くにいたありすに体当たりを仕掛ける。 発情ありすとはいえ体格差は歴然であり、放物線を描き地面に叩きつけられる。 「ああああっ!? まりさってとんだえすえむぷれいなんだからぁああああ!?」 程なくして気を失った。 「さっきはよくも、よくもおおおおおお!!! でいぶまでいじべで、ま゙り゙ざぼおゆるざな゙いのぜええええ!ゆっぐじじねええええぇぇええええ!!!」 再びまりさが僕に突進を仕掛ける。僕は手近にあった太い枝を拾い上げると、 一歩左に下がり野球の打者の要領で勢いよく振りぬいた。 「ゆべっ!? ゆびぶべぼばびぶべぼゆびゃぁああぁああああああああああぁぁぁぁ!!?」 真っ二つに裂かれたまりさは壮大な断末魔を上げると、物言わぬ餡子の塊と化した。 「ど、ど…、どぼじでごんな゙ごどずる゙の゙おおぉぉおおおおお!!?」 「いや…、どぼじでって言われてもなぁ…。れいむ達から仕掛けてきたんだろ?僕はそれに応じただけさ。」 「でいぶのおぢびぢゃんがえじでええええええ!!!ばでぃざをがえじでよおおおおおおぉおおおお!!!」 「卵ならまだ全滅しちゃいないだろーよ。」 「すきなひどにあがぢゃんのもどかげでもらわないとうま゙でないよ゙おおおぉおおぉおお!!! ゆっぐじがえじで、ばでぃざをがえじで、でいぶのあがぢゃん、がえじでよぉおおおおぉおおおおお!!!」 「んなこと言われてもなぁ…。」 「ど、どぼじで…、どぼじでな゙の゙ぉぉおおおおぉおおお!!! ばでぃざ・・・、あがぢゃん・・・、がえじで、がえじで… がえじでぇぇええええぇぇ・・・」 その大きな饅頭は、大粒の涙をぼろぼろとこぼし、悲痛と怒りの余り泣き叫んでいた。 溢れる涙は「彼女」の足元に水溜りを作り始めていた。 僕はただ家に帰りたかったがためにやっただけ。 道を邪魔をした挙句そんな剣幕で問い詰められても困るのだ。 絶望に打ちひしがれる「でいぶ」を目の前にして、僕はどうしていいかわからなかった。 「んほっ!?なみだによだれにぐっちょぐちょのれいむもかあいいのよぉおおおおお!!!」 「ゆがっ!?ゆっぐじごっぢにこないでね!ゆっぐじやべでね!!!」 途方に暮れているうちにありすが気を取り戻した。すぐさまれいむに一直線。何という見上げた根性・・・。 塩攻めにされ、愛するまりさを失ったショックを受け、泣き疲れたれいむにもはや策は残されていなかった。 ありすの為すがままになるしかない。 「んっほおおぉおおおぉおおお!ぐっちょぐちょのれいむぎもぢいよおおおおおお!!! あらてのろおしょんなのねえええええええ!!!すっきりー♪」 「やべでぇええええぇええ!ずっぎじー!」 「めをそむけなくていいのよおおおおおおお!!!れいむったらつんでれね!!! すっきりー♪」 「ゆっぐじやべで、ゆっぐじやべでね!!!ずっぎじー!」 「れいむのろおしょん、れいむのろおしょんあまじょっぱくておいしいいいいいいいいいい!!! もっとちょおだい、もっとちょおだいねええええええええええ!!!」 「でいぶおいじぐないぼおおおおおお!!!」 「ひていしなくていいのよ?れいむったらつんでれなんだからああああ!!!すっきりー♪」 「やだぼおおお、やだぼおおおおおおおお!!!すっぎじー!」 「もっと、もっとありすにあいをちょおだいねええええええ!!!」 「ゆっぐじやべでね!ゆっぐじ・・・ゆ・・・ゆっぐ・・・」 この状況を打破してくれたありすには感謝しなければならないのかも知れない。 そんな僕の内を余所に、ありすの勢いは止まることを知らなかった。 「れいむ?ねちゃったのぉおお?とかいはのありすのてくがきもちよすぎたのねええええ! うぶなれいむもかぁいいよぉおおおおおおお!!!」 れいむは気絶か、腹上死でもしたのか、とにかく動かなくなった。 いずれにせよその額からは緑色の突起が数多く現れ始めており、運命は決まったも同然である。 「あら…?たまごがたくさんあるじゃなあああい! ありすのためによおいしておいてくれたのねええええ!!!すっきりー♪ みてるだけですっきりしちゃったわ!!!すっきりー♪ れいむっておませさんなんだからああああああああ!!!すっきりー♪ ゆっほおおおおぉおおおおおおおお……」 この後どうなるかは想像に容易い。 夥しい数の卵を貪るうちにありすは干からび、万が一孵化できたとしても誰が育てると言うのだろうか。 冬が近いこの季節、子供たちだけで生き抜くには絶望的である。 オレンジ色の卵達が徐々に乳白色に染まっていくのを見届けていた僕は、 追われる様にして我が家への道を急いだ---- 終われ その後...塩がかからずにありすの精子餡を受けたたまごたちは、「ゆっくりしていってね!」という声で生まれてきたが、そこには朽ち果てたありすとれいむがいたこの子達がこの後どうなるかは一目瞭然だろう。加工所にみつかり研究され尽くされるか、餓死するか、死ぬのも生ぬるい地獄を虐待鬼威山に見せられるかだろう愛でおにいさんに見つかろうとも、 親のいないゆん生を歩むには難しいだろう ほんとに終わり Ref. 1) 東方アクロバティカより ttp //flat-racing.sakura.ne.jp/oretoumi/hp/touhou44.jpg あとがき 昆虫型と名付けたのは、蛙のように外側が粘膜で覆われていないためです。 交尾してなくても卵生むの? 充分に成長し時期が来たら大量の卵を産みます。 それでいて本体は交尾するとにんっしんしてしまうという破天荒な設定です。 by まりさつむりの人 他に書いたもの ゆっくりいじめ系800-802 まりさつむりの記憶 ゆっくりいじめ系854 ゆっくりバイブレーション1 アリス×ゆっくり系16 アリスのゆっくり水爆弾 白玉楼×ゆっくり系5 みょんとの出会い ゆっくりいじめ系932 愛しのありす ゆっくりいじめ系1024 嘘つき少女の悲劇 このSSに感想を付ける
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ゆっくり井戸 2KB アマギンさんのイラスト「そして憎しみだけが残った」をリスペクトして書きました。 「みんなのかたきだよ……!」 村の外れの井戸の前、ゆっくりまりさがいた。 その口にくわえているのはスズラン。人間にもゆっくりにも毒となる花だ。そのまりさ は、親ゆっくりから教えられてその毒性を知っていた。 スズランを教えてくれた親ゆっくりはもういない。 先日、大規模なゆっくり狩りがあった。留守の家に侵入して荒らし、畑の作物を食い散 らかしゆっくりは、人間にとって紛れもなく害だ。その結果は必然であり、自業自得に他 ならない。。 だが、当のゆっくりたちにはその理屈がわからない。 自分たちは素敵なおうちを見つけてゆっくりぷれいすにしただけなのに。 自分たちは勝手に生えてくるお野菜を食べただけなのに。 自分たちは、ただ、ゆっくりしたかっただけなのに。 人間達は、無惨に無慈悲にゆっくりたちを殲滅した。 このまりさは幸運にもゆっくり狩りから生き残っていた。その命を繋いだのは囮になっ てくれた親ゆっくりのおかげだ。 とても優しい親だった。おうたが上手だった。やさしくすーりすりしてくれた。いつも 食べ物を取ってきてくれたし、いっしょにむーしゃむしゃすれば最高に幸せだった。 いつもゆっくりしていて、いつもいつもまりさをゆっくりさせてくれる最高のゆっくり だった。 それが、もう、いない。 おとなりのれいむも、ものしりぱちゅりーも、みんなみんな人間に潰されてしまった。 仲間はみんないなくなってしまった。 だからまりさは決意した。 みんなをゆっくりさせなかった人間を、ゆっくりできなくさせてやる、と。 親から「ゆっくりできなくなるからぜったいむーしゃむしゃしちゃだめだよ!」と聞い ていたスズランを用意した。人間に見つからないように井戸の前まで来ることができた。 だが、ここでまりさに躊躇いが生まれた。 自分がしようとしていることは、正しいのか、と。 親ゆっくりはいつもみんなをゆっくりさせてくれた。自分もそうなりたいと思っていた。 だが、自分は今、人間をゆっくりさせなくしようとしている。 それでも、 「まりさはゆるせないよ……!」 まりさはスズランをくわえたまま井戸に飛び込んだ。 まりさは人間がゆるせなかった。しかし、人間をゆっくりさせなくしようとしている自 分もまた許せなかった。 だから死ぬつもりだった。生き残ったのはいいが、もう他のゆっくりはいない。いっぴ きじゃゆっくりできない。 人間を道連れにして、死ぬ。 それがこの親ゆっくりの教えを正しく受け継いだ善良なまりさの導き出した結論だった。 井戸の底へと落ちていくまりさの顔は、どこか安堵したような、どこか皮肉げな笑み― ―本来のゆっくりの笑みを浮かべていた。 そしてまりさは水の中に落ち、スズランと共にゆっくりと溶けていった。 まりさは満足だった。 なぜならまりさは知らなかった。 村には既に水道が通っており、この井戸など使われていないことを。 たまに子供が井戸で遊んでいるのを見て、ゆっくり達が人間の飲み水はこの井戸だと誤 解していたことを。 だからまりさは満足し、最後にはとてもゆっくりし、無意味に死んだ。 触発あきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る まりさに死ぬ間際に教えてあげたい -- 2016-01-31 13 11 43 ざまあww -- 2014-05-26 18 37 04 俺もこのゆっくりの誤りは無知から来てると思う。 元ネタがある以上仕方ないかもだが、もっとこう、ゆっくりの独り善がりな描写が足りなかったと思うことは思うかな -- 2013-01-13 06 27 38 ↓×4 そもそもゆっくりの習性の元ネタになった民族が“同じ知識レベル”で、かつ日本(人間)に対して同じ状況を作ってるじゃないか もっとも、現実世界の人間(日本人)にもゆっくりんピースと同じメンタリティの人間がいたり、ゆっくりには反映させ辛かった買収やシンパの醸成行為という厄介な方法も駆使しては来るが -- 2012-08-22 18 28 58 知らずに幸福に死ねたんだしいいんじゃねww -- 2012-08-16 23 30 30 このページ消えろよ -- 2012-04-03 08 04 49 ゆっくりくるしみをあじわってしんでね!(金バッジ付飼いゆっくりの言葉) -- 2012-03-22 18 09 31 ここで出てくる復讐って価値観の違いよりも無知から来てるよね。 自分は勝手に生えてこないのに野菜はそうだと思ってる。自分は家を空けることがあるのに留守にしているだけの他人の家って発想は出てこない。 もし人間が同じ知識レベルで同じ状況になったら、このまりさみたいな気持ちになってこんな独り善がりなことするんだろうか。 -- 2012-01-29 14 55 40 ↓なんだって?習ってなかったぞ!?中学か?高校か?それとも大学か? いつ出るんd(ry -- 2012-01-28 19 12 52 「ゆっくりと人間はエゴの塊」 ここ、テストに出ますよー -- 2011-09-18 21 17 33 なんで投げ込ま無かったの -- 2011-03-04 08 24 56 ゆっくりが死ぬと心が躍る!!(某大隊長の少佐の証言) -- 2010-12-03 23 00 43 犬死に!無様!!hahahahahahahah!!! -- 2010-11-27 12 17 13 アマギンさんは美鈴書いてる時が好きです -- 2010-10-16 23 08 06 ↓差別が嫌いと言うわりには猛烈に差別的発言をしてるじゃないか。 -- 2010-10-07 07 51 34 >こういうのを見ると人間とゆっくりって本質的にはほんと大差ないよなあと思う 自分に非があるか考えないで全部正当化する人間なんて中国人と朝鮮人もどきくらいだよ 私は差別とゆっくりと朝鮮人が嫌いです -- 2010-10-03 15 39 35 ゆっくりと人間の戦いは続く… -- 2010-08-07 00 16 46 このまりさに聞いてみたい「お前らのゆっくりの為に人間のゆっくりを踏みにじっていいのか?」と -- 2010-08-06 22 38 17 こういうのを見ると人間とゆっくりって本質的にはほんと大差ないよなあと思う 無意味だったけど最後の最後に穏やかに死ねたのは意味のある死に方だと思うわ ただ、このまりさは親に救ってもらった命を無駄にしたのは馬鹿だと思う -- 2010-07-23 14 23 05 でも、子供が遊んでるときに井戸の水をのでくれたら・・・ -- 2010-07-23 14 11 03
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ヴィィィィィィィ、 ヴィィィィィィィ、 ヴィィィィィィィ、 「んあ……誰だよ?こんな夜中に?……」 ゴールデンウィーク初日の夜。 特に何もせずダラダラと過ごした俺が一日を終えようとベッドに入った後だった。 ヴィィィィィィィ、 ヴィィィィィィィ、 携帯を手に取る。 AM 01 35の表示。 こなたからの着信だった。 「……こなた?なんだよ、明日は朝からみゆきとデートなのに……」 ピ! 「ふぁい……もしもし?こなた?どした?こんな夜中に。あ、言っとくけどCLANNADは進んでねーぞ」 「男……」 「ん?何かテンション低いな?どうしたんだよ?」 「かがみんが……かがみんが……(ブツブツ)」 「ん?よく聞こえないんだけど?すまん、俺、明日の朝早いから用件は手短に……」 「かがみんが自殺しちゃうかもしれない!どうしよう!?」 泣き叫ぶような声だった。 「んなッ!!?」 言葉が出ない。 心臓を鷲掴みにされたみたいだった。 血が逆流する感覚。 「お……おい……落ち着けよ?何があったんだ?」 自分の声が震えているのが分った。 だって、かがみが自殺する理由で真っ先に思いつくのは…… 俺がフッたから……? いやいやいや、いくらなんでもそれは俺の自意識過剰ってもんか?いや、でも…… 「つかさから電話があったんだ……今日の夜。かがみん、ハサミを握って、じーっとそれ見つめてて……自殺がどうとかって言ってたらしいの……」 「……!!」 「それだけじゃないんだよ?かがみんに口止めされてたんだけど……かがみん一昨日の帰り、急にボーっとしてっていうか、フラフラしてっていうか、とにかく、突然おかしくなって……線路に落ちそうになったんだよ!なんていうか、『線路に飛び込む』っっていうのに近い感じで……」 一昨日……0時回ってるから正確には3日前か。 確かこなたとかがみとつかさちゃんでゲマズに行くって言ってた日だな…… 「そ、そう……か……もうちょっと……く、詳しく頼む」 俺は、こなたがつかさちゃんから聞いたって言う話を全部聞き出した。 「かがみ本人は、なんて言ってるんだ?」 「『何でもない』の一点張りらしい……」 「そうか……」 「でね……男……男はかがみんがおかしくなっちゃったことについて何か心当たりない?」 「!!!」 思わず携帯を落としそうになった…… 眠気なんかとうに吹き飛んでいるはずなのに、頭がくらくらしていた。 「い、いや……ごめん、ちょっと……わからない……」 「そう……」 「な、何か心当たりを思い出したら……また連絡するよ……」 「そっか、ありがと。ごめんね、遅くにさ。まあ、私にとっちゃバリバリの活動時間なんだけど」 「あ、ああ……」 こなたの冗談にツッコむ余裕もなかった。 「じゃ」 「おう……」 ピ! ……違う、よな? 俺のせいじゃない。 俺のせいじゃない。 俺のせいじゃない。 その日、俺は一睡もできなかった……
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「ぎゃおー♪たべちゃうぞー♪」「う゛~♪う゛~♪」 「ゆっくりゃ様、こっち、こっち」「ゆフラン様、そっちは行き止まりですよ」 ゆっくり達が来て3週間が経過した。 ゆっくり達は更に館の中の皆と仲良くなった。今ではゆっくりゃとゆフランはいつも誰かと遊んでいる。 今もフランとメイド達と共に遊んでいる最中だ。 この3週間、レミリアもゆっくり達がじゃれてくることは何度もあった。しかしレミリアはそのたびに逃げてきた。 今では自らのカリスマ性の低下の事は特に問題にしていなかったが、 そのかわり自らの心に深い罪悪感と激しい嫉妬をを覚えるのであった。 あの二匹はいつも一緒にいた。ゆっくりゃがおねぇさんぶって行動し、それにゆフランがついていった。 二匹ともお互いの事をまるで姉妹のように寄り添いあっていた。 自分はどうだったか。フランが生まれてこれまでの間、あの二匹がお互いにするように接してあげたことはあったのだろうか。 もっと優しくすることが出来たのではないだろうか。あの子達のように接することができたら。苦悩する日々が続いていた。 「ふらん!こっち♪こっち♪」「ゆっくりしね♪」 そんなある日の夕方、二匹と廊下でばったり出くわすことになった。 ゆっくりゃがゆフランを連れて飛んでいる。 めずらしくフランが見当たらない。周りには誰もいない。 面倒なことになったと思っているこちらの気も知らず、無邪気に飛んでくる。 「ゆぅ~♪」「う゛~♪」 「今少し気分が悪いの。あっちにいってなさい・・・」 「ゆ・・・?ゆっくりできる?だいじょうぶ?だいじょうぶ?」「う゛~?」 そんなレミリアを見て、二匹は元気付けるのようにおどけてみせた。 しかしまったく悪気のないその仕草がかえってレミリアを苛立たせることになった。 「いないいない、うー♪」「ゆっくりー♪」 「いいから向こうに行けって・・・」 だんだん心の中の黒い部分がふつふつと沸きあがってくるのを感じる。 自分の居場所を奪ったこいつらが憎かった。 「うっとおしぃ・・・」 「うー?」「ゆっ?」 こいつらは何も苦労せずに、何も犠牲にせず、フランと一緒にいる。 とたん、ダムが決壊するように今まで抑えていた感情が溢れてきた。 「うっとおしいっていってんのよ!あんた達なんでそんなにフランと仲良くしていられるのよッ! あの子に何もしていないくせに!饅頭の癖にぃッッ!」 明らかに八つ当たりだとわかっていてももう止まらない。 レミリアは二匹のほほに手をかけ、それが千切れるのではないかというほどの強さでつねった。 二匹は泣き喚きながらバタバタともがいている。 「いだいっ、いだい~!」「ゆっ・・・、う゛う゛ぅ」 「あんた達はもうフランに近づくんじゃないわよ・・・。もし今度近づいたら引きちぎって犬の餌にしてやるッッッ。」 「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁぁん」「う゛ぇ゛ぇ゛ぇぇっ」 二匹はあっという間にレミリアの前から飛び去って逃げてしまった。二匹は窓から外に向かって飛んで行った。 二匹の後姿を見て、レミリアはようやく我に返り、自分がどれだけひどいことをしてしまったのか知った。 最悪だった。嫉妬のあまり小動物に八つ当たりをして、あまつさえ二匹を可愛がっているフランに対して近づくなと脅してしまった。 その結果、二匹はろくに出たこともない紅魔館の外に出て行ってしまった。 フランは二匹を溺愛していた。あの子達になにかあったらフランはどうなってしまうのだろう。 呆然としていると、外から美鈴が駆け寄ってきた。 「お嬢様、ゆっくりゃ様とゆフラン様が外に飛び出してしまったのですが、なにかご存じないですか。」 「し、知らないわよ・・・。私は何も・・・」 とたんに美鈴は険しい目をしてきた。 「・・・お嬢様、気の流れが乱れていますよ。本当のことを言ってください。」 美鈴の剣幕に気圧され、レミリアはぽつり、ぽつりと先ほどあったことを喋った。思い出しながら口に出すと、 自分がどれだけ大人気なかったのか再確認することになった。 それを聞いて、うろたえるレミリアに変わって美鈴は素早く対策を立てる。二匹の安否とフランドールの事が心配だ。 「わかりました。とりあえずフランドール様とメイド達には事情を伏せて、 ゆっくりゃ様達が外に遊びに行って危ないということにして伝えることにいたします。 そのときに咲夜さんとパチュリー様は事情を知っていたほうがいいでしょうから、 おふたりにはあらかじめ事情をお伝えいたします。」 主に意見をするということは、かなり精神をすり減らす行動だ。しかし今はそのようなことを言っている場合ではない。 「勝手なことだとは思いますが、許してくださいますか。」 部下に任せるなんて主失格だとレミリアは自嘲した。 一方で気を使ってくれた美鈴に感謝しながら、事態が動いていくことに流されることとなった。 結局、レミリア、咲夜、小悪魔、メイド達、そしてフランがゆっくり達の捜索のために出発することになった。 美鈴は門番であり、館の警護のために残らざるをえず、パチュリーは捜索に向いていないためである。 レミリアはフランがついてくることを拒んだが、フランは 「私も行く。駄目って言われてもついていく。あの子が何も食べられなかったり、寝るところがなくて困っていると思うと、 すっごくやだ。」 と、フランは頑として自らがついていくことを譲らなかった。 その様子を見てレミリアは胸が痛んだ。 捜索を始めて、すでに5時間が経過していた。あたりは完全に闇に覆われ、人外の蠕く時間となっている。 しかし、ゆっくりゃとゆフランの姿は見当たらない。途中でいくつかのグループに別れ、レミリアは咲夜とフランと共に行動していた。 「おふたりはいったいどこに・・・」 咲夜は懸命に探していた。全身が汗だくになり、息も絶え絶えである。瀟洒な彼女にはあるまじき余裕のなさであった。 「はやくみつけないと・・・。ゆっくりゃとゆフラン、おなかすいてないかな・・・」 フランは泣きそうであった。地下に閉じ込められていた頃には決してなかった、幸せな時間が明日からは失われるのではないかと思った。 あの子達は自分が毎日一緒にご飯をあげていた。自分で餌をとったことは一度もない。 あの子達はあれで意外とグルメだ。おなかをすかしていないだろうか。 一緒のベッドで寝ているときに、寝ぼけて食べそうになってしまったことがある。悪い人や妖怪に食べられてはいないだろうか。 そんな辛そうなフランの姿を見て、レミリアは声をかけずにいられなかった。事情を隠していることに罪悪感を感じた。 せめて、心配させないために、冗談でも言おう。 「ねぇ、フラン」 「なに、お姉様」 「もし、もしもよ。もしあの子達が戻ってこなかったらどうするの。ほら、ひょっとしてただ外に出て遊びたかっただけかもしれないし 、紅魔館の中に飽きたんじゃ・・・」 その言葉を聞いて、フランはとうとう我慢できずに泣き崩れてしまった。その能力ゆえに隔離された彼女には、 友達から捨てられるということに耐えることができないのであろう。 失言であったが、もう遅い。 「お嬢様、失礼いたしますが聞かなかったことにさせてください。」 事情を知っている咲夜が横槍を入れる。泥沼であった。 途方にくれていると、遠くから飛んでくる影があった。小悪魔である。二匹の姿が見つかったようだった。しかしその顔は青ざめていた。 小悪魔が息を切らせながら報告する 「ゆっくりゃ様と・・、ゆフラン様が、その、太陽の畑にいたって、風見幽香と一緒に・・・」 少し時は遡る。 幽香は太陽の畑の中で夜の散歩をしていた。彼女は妖怪にしては珍しく、向日葵と共に日中に行動している。 そのため、こんな夜更けまで行動するのは滅多にないことであった。 「あら、ゆっくりじゃないの」 目の前の二匹のゆっくりに目が留まる。涙で目を腫らしていて、弱弱しい。ここに来るまで相当の距離をさまよったのであろう。 「おねぇさんはゆっくりできるひと?」「ゆ?」 ゆっくり達は怯えながら聞いてくる。ところどころに傷があることから、動物にでも襲われたのだろうか。 ゆっくりは基本的に食べられることを恐れないふてぶてしい生き物なので、ここまで何かに怯えるのは珍しかった。 たぶん相当な箱入りか、あるいは誰かにとても可愛がられて生きることに執着してしまったから、 現世でゆっくりすることを望んでいるためであろう。 「ゆっくりできるひとよ。それよりどうかしたの。こんな時間に」 聞くところによると二匹は紅魔舘の主人の妹のペットで、主人の怒りに触れて逃げてきたらしい。 幽香は、おもしろいことになりそうだと興味を持った。 幽香は基本的にゆっくりに興味がない。彼女のように長い時間を生きた妖怪は同じく強力な力を持った妖怪か人間しか相手にしない。 このところ強敵との戦いがなかったのでつまらなかった。妖怪が幻想郷に来てから、段々決闘にルールがつくようになった。 それはそれで手軽に戦えるため悪くないが、やはりお互いの全力を持って命を奪い合う戦いが恋しかった。 けれども、こいつらを餌にすれば紅魔館の悪魔の妹が食いついてくるかもしれなかった。 噂に聞く全てを破壊する程度の能力とはどのようなものだろうか。 「二人ともゆっくりしていってね。歓迎するわ」 それはまさに人外が浮かべる妖しい微笑だった。 風見幽香。危険度極高。人間友好度最悪。以前は大量虐殺を趣味としていたといわれる。幻想郷最悪の妖怪。 「風見幽香は危険よ。私達に任せてフランは帰りなさい。」 「そうです。ここはフランドール様には危険です。」 レミリアと咲夜は必死だった。冷静さを失っているフランと好戦的で有名な幽香を会わせたら、まずただではすまないであろう。 「嫌よ。あの子達が危ないって言うんなら、絶対に私は行く。あの子達を助けるの。」 フランは言うことを聞かなかった。レミリアがなんと言おうと、決して譲らない。 また、あの黒い感情がわいてくる。 なんであの子たちばかり。 私だってフランのことを守ろうって、ずっと頑張ってきたのに。 「フラン、お姉様の言うことが何できけないの。」 レミリアはフランの頬を叩く。フランは信じられない顔をした。 「あの子達がそんなに大事、あの饅頭が、あんなのただの食べ物じゃない。」 叩く、 叩く、 段々強く。 何度も 「お嬢様、いったい何を・・・」 あわてて咲夜がレミリアを抑える。しかしレミリアはもう止まらない。 気がついたらなぜゆっくりゃ達が逃げたのか、言ってしまった。 その時、どれだけ二匹が憎かったかレミリアは自らの嫉妬を抑えることができなかった。 そして全てを語り終えたとき、フランはゆっくりとレミリアに近づいてきた。 そして 殴った。こぶしを握って。 その衝撃波で人間である咲夜は吹き飛ばされ、近くの大木に頭を打ちつけられてしまった。咲夜が時を止める暇もない。 信じられないスピードと破壊力だった。 「お姉様、今までありがとう。そしてさよなら。」 信頼していた姉に裏切られた彼女は、もはや周りが見えていなかった。そしてあっという間に飛び去ってしまった。 またやってしまった。 レミリアは呆然としていた。 この数百年間、私があの子にしてきたことは何だったのだろう。 結局、あの子を閉じ込めて、孤独にして、そして傷つけただけだった。 せっかくできた友達まで奪ってしまった。 レミリアはどうすればいいのかわからなかった。泣き出せるものなら泣きたかった。 咲夜が声をかけてくる。 何もわからない。 もうどうでもいい。 もうどうでも・・・。 また殴られた。今度は平手で、相手は咲夜だった。 咲夜はレミリアをまっすぐ見ていた。 「あの子達はお嬢様とフランドール様より生まれました。」 咲夜は頭から血を流していた。足元もふらついている。 レミリアは咲夜の気迫に押され、一言も発することができない。 「けれども決して本人とは似てもにつきません。ですが、ですが・・・」 もはや立っているのも辛いだろう。それでも咲夜は凛として言い放った。 「あの子達はとても仲が良かったです。まるで本当の姉妹のように。ですから、その元になったお嬢様なら、 フランドール様を愛しているお嬢様なら、きっとうまくいくはずです。今からでも、遅くはな・・・」 最後まで言い切ることなく、咲夜は倒れてしまった。 小悪魔に咲夜の治療を任せ、レミリアはフランを追うことにした。 咲夜の言葉が頭に響いていた。 レミリアが太陽の畑についた頃にはすでにフランと幽香が戦っていた。いつもの弾幕ごっこではなく、肉弾戦も含めた決闘であった。 フランが幽香に駆け寄って、有無を言わさずに戦いになったと考えられる。 ゆっくりゃとゆフランは畑の中のぽっかり空いた空洞に位置していた。恐怖で逃げられないのだろう。 幽香が畑に被害を出さないためか、空中でぶつかり合っているのが幸いだった。 なにしろ幻想郷最悪の妖怪と最凶の悪魔の激突である。レミリアでさえも下手に近づいたらただではすまないだろう。 飽きたな。 幽香はフランの圧倒的な破壊力を持った弾幕と吸血鬼の身体能力に一時は感嘆したものの、 一合、二合と組み合っていくうちに、早くも興が削がれつつあった。 この二人の戦いは戦闘ではなく、闘牛と呼べるものであった。 フランは明らかに冷静さが失われていた。そのため、いつものような豊富な弾幕を用いた様々な攻撃をせず、 一直線に相手を狙った大振りの一撃と大雑把な弾幕のみ打ち続けていた。 幽香はいくら破壊力がある弾幕であろうと、軌道が単純なら楽にかわせる。 フランが身体能力に頼って接近戦に持ち込んでも、幽香も身体能力には全く引けをとっていない。 それどころかフェイントも駆け引きもせずただ直線的な動きで追ってくるフランの攻撃は、 戦闘経験が豊富な幽香にはかすることさえしなかった。 「もっと頭を使いなさいな。吸血鬼に脳がないってほんとうなの?」 「逃げるなぁっ!正面からきなさいよ!」 期待はずれだわ・・・ もっと面白くなると思ったのに、このふがいなさは何だ。せっかくの決闘だ。もっと楽しませて欲しい。 フランの弾幕を最小限の動きでかわす。幽香はかわした際に軽く一撃を打ち込む。難なく当たり、フランは吹き飛ぶ。 そこに幽香は追い討ちをかける。フランは必死に反撃する。そのあまりのスピードのため、レミリアが近づくことさえできなかった。 「本当に下手ねぇ。あなた、自分より強い相手と戦ったことないでしょう。」 「だまれだまれだまれぇっ!!!」 さぁ、どうするかと幽香は考えた。そうだ。相手が怒りによって突っ込んでくるなら、下手に頭を冷やさせるよりも、 もっと挑発して、より相手の力を引き出せばいい。ああいったタイプは逆上させてそのリミッターをはずしたほうがいい抵抗を見せる。 「そんなにあの子達がだいじなの?あんなへんてこな生き物が。悪魔にしてはいい趣味しているわね。」 「あの子たちを悪くいうなぁっっ!」 逆上したフランの剣を幽香が鼻歌交じりにかわす。それは踊っているようにも見えた。 幽香は邪悪に微笑む。 「そこでもっとあなたが本気になれるいいことを思いついたの・・・。」 何かを守ろうとする者には それを目の前で打ち砕こうとする。 「あなたが負けたらあの子達をぐちゃぐちゃに引き裂いて向日葵の肥料にしようと思うの。たっぷり生きたまま時間をかけてちぎって、 ちぎって、ちぎって、畑中に埋めるの。それとも日干しにして虫達の巣にしてあげようかしら。 生きたまま体中に穴を空けさせてさ。いい声で鳴きそうね。素敵でしょう。どっちがいいと思う?」 両者の動きが止まり、フランの周りの空気が一変する。 その表情はゆっくり達とじゃれあった無邪気な少女のものではなかった。 それはかつて地下に閉じ込められていた頃のような、仮面のように無機質な顔であった。 「うるさいよおまえ・・・」 あふれ出す狂気のなか発現する、あらゆるものを破壊する程度の能力 彼女を孤独にした元凶 望まれなかった力 それが彼女の心を憎しみが侵したとき、本来の力を発揮する 空が赤く染まり 空気ですら焼けていく 全てが終わったときには何も残らない 「さぁ、ぼやぼやしていると一匹ずつ始末していくわよ。どっちからにしようかなぁ。」 幽香の試みは成功した。 これだ、これこそがフランの力の本質。圧倒的な暴力。 自分に対して恐怖を与えてくる者こそ戦うに値する。 かつてない強敵との邂逅に幽香は血がたぎった。 フランの右手に魔力が集中する。当たらないのなら辺り一面を吹き飛ばしてしまえばいい。当たればどうってことはない。 だれも立ち上がれない。あの子達を守るんだ・・・。 「う゛わ゛ぁ゛ぁ゛ぁ、ごぁいよぉぉぉ」「う゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇぇっ」 しかしそれがゆっくりゃ達さえも巻き込んでしまうほどの力であることをフランは知らなかった。 ただ守ることだけを考えて、それゆえに自らの手で愛するものを壊してしまうであろうことを。 そのために、レミリアはフランを地下に閉じ込めたことを。 フランは全力で幽香に向かって突進した。迎え撃つ幽香、そしてその後にいるゆっくりゃとゆフラン。射線が重なっていた。 その戦いを見ていたレミリアの頭をよぎったのは、近い未来大切な友達を壊して、周りにだれもいなくなったフランの運命。 「ふら゛ぁ゛ぁ゛ぁん!!!」「ゆ!?」 そして目の前に映るは、今妹庇おうと身体を前に差し出すゆっくりゃの姿。 頭の中で何かが弾けた。 レミリア・スカーレットの能力 運命を操る程度の能力 対象の運命それを打ち破ることができる能力。 しかし土の中に種も植えずに芽が出ないように、運命を変えるには何かの行動が必要となる。 この場合は、全力のフランの一撃をその身に受けること いくら吸血鬼とはいえ、ただではすまないだろう しかし自分にとって願うはフランの幸せ この場に導いてくれたのは自分を信頼してくれる従者 教えてくれたのは餡子とひき肉によってできた身体を持つ、自らとその妹の分身。 今度は自分が頑張る番だった。 風よりも速く、音よりも速く、光よりも速く、レミリアはフランの前に立ちふさがり、その一撃を受け止める。 風圧で皮がむける。熱で肉が焼けつくされる。衝撃で骨が砕ける。 この一撃を受け止める数秒が、永遠にも感じられた。 けれども大丈夫、耐えられる、私はあの子のおねぇさんなのだから・・・ フランの一撃を耐え切ったとき、レミリアの左腕は吹き飛んでいた。右足はぷらぷらと皮一枚でつながり、羽は共に歪な形に曲がっていた。 そして胸には大きな穴が。 「そんな・・お姉様・・なんで・・・・」 正気に戻ったフランが信じられないものを見る目をレミリアに向ける。レミリアの後には、唖然とした幽香がいた。 その更に後にはゆフランとそれをかばうゆっくりゃの姿が見えた。二匹ともとても怯えている。 レミリアの後以外は、草一本の残っていなかった。レミリアがいなかったらどうなっていたのか、フランは気がついた。 「あ・・ぁ・・ぁ・・」 フランが力なく後ずさった。目には光が灯っていなかった。 「ごめんね・・・。フラン・・・・」 レミリアはフランに懺悔を、ゆっくりゃとゆフランに感謝をしながら、意識が途切れた。 最後に目に映ったのは、叫び声を上げる妹と、泣き喚きながら飛んでくる饅頭たちであった。 後篇へ 吸血鬼は実年齢に精神年齢が伴わないのだろうか? -- 名無しさん (2010-11-28 11 48 36) 名前 コメント
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憂「でもどうする? スプーン一個じゃ……」 わたしが言う間に、お姉ちゃんはかちゃかちゃとスプーンを鳴らして 何かのルーとライスをちょっと混ぜ合わせた。 唯「はい、あーん」 喜色満面のお姉ちゃんがスプーンを向ける。 ……いいのかな? 憂「あ、あーん」 先にひとくち食べさせてもらった。 トマトの酸味がして、ようやくトマトハヤシだとわかった。 憂「……おいし」 唯「えへへ……さてさて」 お姉ちゃんは再度スプーンを器に差し込むと、スプーンにひと口ぶん掬う。 そしてそのまま、ぱくりと食べてしまった。 唯「おー、おいしいね」 間接キスがね……なんてお姉ちゃんは思いもしないんだろうけれど、 にっこりとしておいしいと言ったお姉ちゃんはすごく可愛かった。 憂「……ね、ねぇ、お姉ちゃん?」 いけない。 食事中なのに、ドキドキしてきちゃった。 唯「ん?」 お姉ちゃんはまた同じようにハヤシライスをすくう。 憂「も、もしかして、ずっとこれ続けるの?」 唯「あ、憂もお姉ちゃんにあーんってしたい?」 憂「え、えっと」 お姉ちゃんは思わず浮いた私の手に、スプーンをぎゅっと握らせた。 私がくせで手を開くのを見越していた動きだった。 唯「へへ、あー」 お姉ちゃんが口を開ける。 落ちつくんだ、私。 普段通りに、よこしまな気持ちを抱かずに。 憂「……あーん」 ぱくり、とお姉ちゃんが差し出したスプーンに食い付いた。 歯の当たった振動と、するりとくちびるが抜けていく感触が伝わって…… どうしよう、ぜんぜん興奮がおさまってくれない。 唯「えへへー。はい、憂も食べないと」 器を押し付けられ、お姉ちゃんに促される。 憂「う、うん……」 お姉ちゃんの口の中に入ったスプーン。 お姉ちゃんが舐めたスプーン。 わたしは、ほんの少しだけご飯をすくった。 憂「……い、いただきますっ」 思い切って、口の中へ。 お姉ちゃんがやったであろう形と同じように、舌を這わせて……。 唯「うい、おいしい?」 お姉ちゃんが頭を撫でる。 お姉ちゃんの中では私なんて、まだちっちゃな子供なんだろう。 憂「っん、おいしいよ」 どうやら、私の気持ちはひとつの臨界点をこえたようで、 スプーンを離すころにはかえって落ちついていた。 唯「はい憂、食べさせてー」 憂「うん。はい、あーん」 結局わたしたちは器がすっかり空になるまで、何度もご飯を食べさせあった。 ロウソクの火の色のせいで、お姉ちゃんは私が顔を赤くしていたのには気付かなかったみたいだ。 おかげでずっと見続けていられたお姉ちゃんの笑顔は、一生の思い出になりそうだった。 器を床に置いたころには、ロウソクがもうじりじり言い出していた。 ペットボトルのお茶を飲みながら、お姉ちゃんは消えかけのロウソクを見ている。 唯「憂も……飲んでおいたほうがいいよ」 憂「えっ?」 唯「暗くなって、ペットボトルがどこいったか分からなくなったら困るでしょ?」 唯「だから暗くなる前に、しっかりお茶飲んでおかないと」 そう言って、お姉ちゃんはさらにお茶をがぶがぶ飲む。 でも言うとおりだ。 水分はとっておくにこしたことはない。 ただでさえ蒸し暑く、汗をかきそうな夜なのだ。 憂「そうだね、そうする」 私もペットボトルを拾って、お姉ちゃんのようにがぶがぶ飲む。 お腹一杯になったころには、ペットボトルは半分ほどの軽さになっていた。 私は蓋を閉めてペットボトルを床に立てた。 さきに水分補給を終えたお姉ちゃんと同じようにしたのだ。 唯「……あっ」 お姉ちゃんが声を上げる。 明かりが弱まりだしていた。 憂「もう消えちゃうね」 唯「う、うん。そうだね」 お姉ちゃんは今更不安になってきたのか、すこし吃った。 明かりはどんどん小さくなって、最後は火花のようになって消えた。 唯「……ふーっ」 お姉ちゃんが長く息を吐いた。 憂「……消えちゃったね」 唯「うん、まっくら」 明るさに目が慣れていたのもあって、何も見えない。 お姉ちゃんがぺたぺたと私の背中に触れた。 私を探してるのかな。 憂「……お姉ちゃん、わたしはここだよ」 わざと少しお姉ちゃんから離れて、お姉ちゃんを呼ぶ。 唯「わっ、憂どこー?」 慌てた様子でお姉ちゃんが腕を伸ばしているようだ。 そんなお姉ちゃんが可愛くてもう少し感じていたくて、またちょっと距離を取る。 憂「ここだってば」 唯「ん、そこかな?」 お姉ちゃんが五感で私をとらえたのが分かった。 次の瞬間、お姉ちゃんにぎゅっと抱きしめられる。 唯「みつけたー、つかまえたー!」 お姉ちゃんは正面から抱きついてきていた。 正面はいちばん気持ちいいしくちびるも触れそうになるから好きなんだけれど、 ドキドキしてるのがいちばんバレやすいからちょっと怖い。 憂「えへ、つかまっちゃった」 唯「ふっふっふ……よいしょ」 ベッドの上で抱き合っている。 真っ暗だから大丈夫だけど、 もしお父さんたちが今の私たちを見たら何か勘違いをするかも、なんて思った。 唯「ふー。落ちつく」 お姉ちゃんがくったりと私にもたれかかる。 私もお姉ちゃんに寄りかかって、少し強く抱きしめた。 唯「……ねぇ、憂」 憂「ん?」 唯「真っ暗だとさ……何にも見えないね」 唯「それに、何にも見られない」 憂「……でも、私にはお姉ちゃんが見えてるよ」 憂「お姉ちゃんだって、私が見えてるでしょ?」 闇の中に、お姉ちゃんの輪郭が見える。 それはきっと、暗闇に目が慣れたせいだけではなかった。 唯「うん。憂が見える。見えるんだけど……ね」 抱きしめているお姉ちゃんの体が、すこし震えたように感じられた。 唯「それってことはさぁ……私、いま、憂しか見えてないってことなんだよ」 お姉ちゃんの抱きしめる手がゆるんで、顔が私の目の前にきた。 頬を撫でていった息は、すごくしめっぽくて熱かった。 憂「お姉ちゃん……?」 唯「憂は、いい子だよね」 泣きそうな目をして、お姉ちゃんは言う。 唯「さっきだって、お皿割ったこと正直に言ったし」 憂「……でも、私が隠し通してたら、お姉ちゃんはここに閉じ込められずに済んだのに」 唯「いいの。今そんな話してないから。……それに、私」 お姉ちゃんがまた微かに震えた。 唯「わたし、むしろ嬉しいんだ。憂と一緒に閉じ込められたんだから」 憂「……」 唯「……ねぇ、うい」 お姉ちゃんが、再度問いかける。 憂「……なあに、おねえちゃん」 唯「……憂は、いい子だから」 お姉ちゃんがごくりと唾をのんだ音が、耳に残る。 唯「私の、質問にも……素直に答えてくれるよね」 憂「……う、ん」 腕の中のお姉ちゃんがぶるぶる震える。 もしかして、震えているのは私のほうなんだろうか? うまく、しゃべれないし。 唯「あのねっ……憂は……」 唯「憂は、こんな、ね? わたしに……」 お姉ちゃんは泣いていた。 蒸し暑い中で、汗のようにぽたりと垂れた涙が、服のお腹にしみた。 唯「……わたしがっ。好きだっていったら……」 唯「付き合って……なんて……くれないよね」 お姉ちゃんが後ろに下がろうとした。 憂「……」 唯「ごめん、うい……わ、わた、じぃ……」 やっぱり震えているのはお姉ちゃんだよ。 ぼろぼろ泣いてるお姉ちゃんを力の限り抱きしめる。 唯「ごめん、ごめんねぇっ……好きに、なっちゃったぁ」 唯「ごぇ、んねっ……許してぇ」 憂「……お姉ちゃん」 私はお姉ちゃんを抱き寄せて、耳にくちびるを近づけた。 憂「……嘘はだめだよ? 私だけしか、見えないんでしょ?」 唯「うい……?」 憂「ちゃんと私を見て。お姉ちゃんだけを見てる私だけのこと」 泣きはらした目で、はなの垂れた鼻で、汗ばんだ肌で。 ろれつのまわらない舌で、赤く色づいた耳で。 お姉ちゃんは私を見た。 憂「……はい、嘘泣きやめようね」 お姉ちゃんの頭を撫でて、だきしめるのを一旦中断。 唯「……ぁ」 お姉ちゃんはくたびれたみたいで、肩をおろしてしばらく荒い呼吸をしていた。 だけど、わたしが笑顔を向けると、 あやされた赤ちゃんみたいに満面の笑みになった。 唯「……憂ぃ」 お姉ちゃんが、ゆっくりもたれかかるように私に寄り添った。 唯「……わたしは」 お互いにドキドキしてるのが、くっついた胸からよく伝わる。 唯「……私は、憂のことが大好きです」 唯「だから……つきあってください!」 お姉ちゃんは私を見つめて、言いきった。 わたしも、全身でお姉ちゃんを見つめる。 憂「……はい。喜んで」 ぴったり抱き合ったまま、私たちは離れなかった。 底も見えない暗闇の中で、お姉ちゃんの存在だけがはっきりわかる。 世界中に、私とお姉ちゃんだけがいる。 唯「ういっ……」 憂「うん……」 表情も格好も、気持ちもわかる。 わたしはほんのすこし首を傾けるようにして、待ち受けた。 ―――― 翌朝、私たちは寝乱れた服とベッドを直して、鍵の開くのを待った。 ペットボトルを探してお茶を飲み、お姉ちゃんの求めに応じてキスをする。 そんなことをしていると、やがて鍵の開く音がした。 母「二人とも、朝よ。しっかり反省したかしら?」 扉を開けたお母さんは、とたんになんだかなんともいえなそうな顔をした。 苦笑い? 憂「まぁ……そうかな?」 唯「うん、もうおっけーだよ!」 母「そう。じゃあ出なさい」 唯「えへへ、やった!」 お姉ちゃんはベッドから飛び出すと、我先にと地下室の扉に走っていき―― お母さんに服を掴まれ、捕獲された。 唯「え、な、なにお母さん?」 お姉ちゃんはなんだか焦ったような顔。 そんなに慌てることかな? どうしたんだろう。 母「……唯」 一方、お姉ちゃんをつかまえたお母さんはそれはそれは笑顔で。 母「うまくいったみたいねー?」 そう言ってお姉ちゃんの頭をがしがし撫でた。 憂「うまく……いった?」 その言葉によって浮かぶ、ひとつの疑念。 もしかして、まさかお姉ちゃん、そんなわけないよね。 唯「な、なんでもない、なんでもないよ憂!」 憂「……お母さん、お姉ちゃんと話があるからちょっと鍵かけてくれない?」 母「オッケー!」 お母さんは身をひるがえすとドアの外に出て、鍵をかけてくれた。 憂「さて……説明してもらおうかな、お姉ちゃん?」 唯「ひいいいぃぃ!!」 ドアの前でうずくまるお姉ちゃんを抱き上げて、ベッドに投げ込む。 まっくらは、時間の感覚をなくす。 この暗闇に朝がやってくるには、まだしばらくかかりそうだった。 おっしまい 戻る
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初SSです。いろいろと至らない点もあるかとは思いますが、ご容赦のほどを。 「だずげでぇぇぇぇ!ごろざないでぐだざいぃぃぃ!」 「おねがいじまずぅぅ!あがじゃんをはなじでぐだざいぃぃ!」 「ばりざあああぁぁぁぁぁ!しんじゃやだあああぁぁぁ!」 きんきんと耳に響く甲高い叫び声が山に響く。 男達はその声に答えることなく、淡々と足元の生首饅頭、ゆっくり共を潰していく。 「や、やめてね。ゆ、ゆっくりたすけ・・・ゆぶぎゅえぇ!」 「ま、まりさはゆっくりにげ・・・ゆぶぢゅ!」 「じに・・・だぐな・・・い・・・じにだぐ・・・な・・・」 あるれいむは命乞いをしているところに鍬を脳天に振り下ろされ、後頭部を抉り取られて死んだ。 あるまりさは逃げようとしたところに鎚で叩き潰され、地面に汚い餡子をぶちまけた。 別のまりさは鉈で真横に切り裂かれ、半分になった身体?を引きずって、やがて息絶えた。 「いだい・・・よ・・・いだ・・・い・・・よう・・・はやぐ・・・ごろ・・・じでえ・・・」 見れば、顔の半分を踏み潰され、髪も飾りも根こそぎ千切れた、もはや何種だかもわからない息も絶え絶えのゆっくりが、 男達に殺してくれと哀願していた。他にも何体かのゆっくりはかろうじてまだ息がある様子だった。 だが、即死だろうと、瀕死だろうと、最終的に動かなくなればいいのだ。男達は無視して作業を続ける。 鍬で、鎚で、鉈で、鋤で、鎌で、ナイフで、シャベルで、鋸で、足で・・・淡々と思い思いの方法、道具でゆっくりを潰していく。 「みゃみゃあぁぁぁ!たちゅけちぇぇぇ!たちゅけぶぎゅえぇ!」 「むぎゅうぅぅぅ!ごわいぃぃぃ!じにだぐないぃぃぃ!」 「ありずのどがいはなながみがでぢゃうぅぅぅ!いやぁぁぁぁぁ!」 「わがらないよぉぉ!わがだぎゃぼぉ!」 赤まりさを数匹まとめて踏み潰し、ぱちゅりーとありすは底を抉り取って放り投げた。ちぇんの尻尾をつかみ、岩に叩き付けた。 「どぼじでごんなごどずるのおぉぉぉ!」 籠に詰められ、身動き出来ない百匹近いゆっくりが一斉に声を上げ、何度目かもうわからない問いを発する。が、男達は答えない。 ようやく、男の一人が言葉を発した。 「あーあ、毎度毎度面倒くせえよなあ・・・饅頭潰しはくたびれるし、飽きるんだよなあ」 「ばりざだぢはまんじゅうじゃないよぉぉぉ!もうおうぢがえじでぇぇぇ!」 「そう言うなよ。思ったより多くて籠に入りきらないんだから仕方ねえだろ」 ゆっくり達は男達の会話にいちいち反応しているが、男達は一度たりともゆっくりの声に反応しない。 そうしている間にも、ゆっくりは潰されていく。なんとか逃げようとしても、すぐさま人間の足が飛んできて、元いた場所に戻される。 そして結局は、叩き潰されるか踏み潰され、餡子を地面にぶちまけて死ぬか、切り裂かれて餡子を垂れ流して死ぬか、どちらかだ。 「どすぅぅ!まりさあぁぁ!みんなはやくもどってきてよぉぉ!れいむたちみんなころされちゃうよおぉぉ!」 一匹のれいむが自分たちの庇護者であり、先日村へ向かったドスまりさに助けを求めているのを聞いて、 一人の男は思わず笑ってしまった。ゆっくりにも、仲間にも気づかれないほど、微かに。 そして男はすぐに笑みを消すとすぐに作業に戻り、手に持った鎚を黒いとんがり帽子に振り下ろした。 「ゆぶじゅえぇ!」 汚らしい断末魔を上げ、最後のゆっくりが潰された。 「ようし、ここでの草抜きはもう終わりだ。後は村に帰ってやるぞ」 村人の一人がそう言うと、男達はゆっくりの詰まった籠を背に、山を降り始めた。 ことのきっかけはドスが数十匹のゆっくりとともに山から村に降りてきて、協定(と呼ばれる要求)を突きつけてきたことだった。 「きょうていをむすびにきたよ!このむらでいちばんえらいひとは、ゆっくりでてきてね!」 ドスパークを威嚇で放ち、勝ち誇ったように村のはずれの広場でふんぞり返る(ように顎をつきだしている)ドスまりさ。 その周りでゲラゲラと笑うゆっくり達。 「さっさとするんだぜ!それからまりささまたちにさっさとゆっくりできるおやさいさんをもってくるんだぜ!」 「それとかわいいれいむにあまあまさんをもってきてね!」 各々勝手なことをわめくゆっくり達を、村の人間たちはまたか、といった目で見ている。そして、誰かを呼びに行った様子を見て、 ゆっくり達は自分たちの勝利を既に確信していたようだった。 そんなゆっくりの周りでは、村人達がぼそぼそとお互いに話をしている。 「ああ、また沸いて出たのか」 「まあ、そろそろじゃないかとは思ってたがねえ」 無論、すっかり調子に乗っている餡子脳には、そんな会話耳に入っても脳に残らない。もっとも、残るところがあるかは不明だが。 「ゆっへっへっへ。しょせんにんげんさんはどすやまりさたちのてきじゃないんだぜ」 「はやくしないとまたどすのどすすぱーくがさくれつするんだぜ」 そんな思い思いに喚いていた、そのときだった。 ひゅん、という風を切る音が聞こえたかと思うと、ドスの身体に何かが数本突き刺さっていた。そして、一瞬の沈黙。 「ゆぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!いだい!いだいいいいぃぃぃぃ!だずげでぇぇぇぇぇ!」 突然ドスが叫び声を上げ、のた打ち回りだしたのだ。瞬く間に数匹が押しつぶされ、ゆっくり達はパニックに陥った。 「や、やめてね!こっちにこないでね!」 「おおおおおおちつくんだぜどす!まりさたちがつぶれるびゅぶぇ!」 「ぢんぼぉぉぉぉぉ!」 混乱しているゆっくりを尻目に、数人の村人はいつの間にか手に持っていた長めの竹槍でドスを次々に突き刺していく。 手の開いている者はうろたえている他のゆっくりをどんどん籠に詰めていく。 「ゆぐうぇぇぇぇえええ!ゆぶぅえああぁぁ!」 その間にもドスはのた打ち回り、奇声を上げ、さらには膨大な量の餡子を吐き出し続けた。 やがて、命の源たる餡子を吐きすぎたドスの動きは弱まっていき、最後に「ゆ゛っ・・・・・・ゆ゛っ・・・・・・」と呻いて痙攣すると、 それきりぴくりとも動かなくなった。 限界まで目を見開き、顎が外れているのではないかと思うほどに口が開かれたその顔は、想像を絶するほどの苦痛を 味わったことがありありと見て取れた。 「どすがしんじゃったあああぁぁぁぁ!」 「なんでえええええぇぇぇ!?」 ゆっくりにとってはあの程度の攻撃でドスが死ぬなど信じられないことだったが、答えは単純な話だ。 まず、最初に突き刺さったもの、矢には山葵や唐辛子のエキスがたっぷりと塗りつけられていたのだ。 辛いものはゆっくりにとって猛毒。それはドスとて例外ではない。そして竹槍は細工がしてあり、突き刺さると中に入っている 唐辛子エキスが注ぎ込まれるようになっていたのだ。 そもそも、ドスなど巨体と火力だけがうりの鈍重な巨大饅頭に過ぎない。極端に狭い場所ならばともかく、開けた場所でなら 用意のある人間が負ける要素などほとんどないのだ。 「これで全部か?」 「ああ。しかし、このデカイのが来たってことは、また群れが山に住み着いた、ってことか」 「だろうな。明日は山に入って草抜きをしてこなきゃならんな」 そんな会話をしながら、村人はドスだった巨大な物体を手早く、かつ適当に崩していった。 その光景を、捕らえられた数十匹のゆっくりはあるものは震え、涙を流して眺め、あるものは人間を口汚く罵り、あるいは ドスの仇を討とうと躍起になっていた。ほんの少数のゆっくりのみ、人間に対して命乞いをしていた。 「どすが・・・どすがああああぁぁぁ・・・」 「ゆっくりできないにんげんはしねえぇぇ!ゆっくりしないでしねえぇぇ!」 「にんげんのぐぜによぐもおおぉぉ!ごろじでやる!ごろじでやるうううぅぅぅ!」 「はやくここからだせぇぇぇ!」 「おねがいしますううぅぅぅ!もうおうちかえしてくださいいぃぃ!」 だが、村人は一切反応しない。まるで自分達の声など聞こえていないかのように振舞う人間に、ゆっくりはひたすら叫び続けた。 ようやく、村人がこちらに近づいてきた。ゆっくりはここぞとばかり、一段と声を張り上げる。 だが、やはり村人は答えることなく、ゆっくりの詰まった籠を抱え、運び出した。運ばれている間、やはりゆっくりは延々と 罵ったり、脅したり、命乞いをしたりしていたが、それに人間がわずかでも返事をすることはなかった。 山で捕まったゆっくりが連れて来られたのは休耕中の畑だった。村人はその畑のほぼ中央にゆっくりの詰まった籠を下ろした。 相も変わらず、籠の中のゆっくりは口々に喚き散らしている。 人間を罵るもの、脅しをかけるもの、食料を要求するもの、意味もなく泣き叫ぶもの・・・ そして、ほんの少数ではあるが、不審な目で村人を見上げるものもいた。 どこかおかしいということに、なんとなくではあるが気づき始めていたのだ。 この人間達は、何故自分達の声に反応しないのか?耳が聞こえないのだろうか?だが、人間達はお互いに会話をしていたではないか。 自分達を恐れている?仲間にはそう思い込んでいるものもいたが、大半はそんなことを本当にはしていなかった。何故なら、彼らは 自分達の仲間をついさっき、大量に、あっさりと殺してしまったのだから。 こちらの言葉が通じていないのか?だが、こちらはあちらの言葉がわかる。なのにあちらがわからないとは、さすがの餡子脳とて そんなことは思わない。 無論、餡子脳では考えたとて答えなど出ない。そうこうしているうちに、いくつかの籠のゆっくりが畑に開いた穴の中に放り込まれた。 「ゆゆっ、ようやくでれたよ!よくもれいむたちにひどいことしたね!ゆっくりおわびのしなをもってきてね!」 「ゆっへっへ・・・わざわざにがすなんて、やっぱりにんげんはばかなんだぜ。ゆっくりころしてやるからかくごするんだぜ」 自由になった途端、さっきまでの状況も、ましてや頭を掠めた疑問も消え去る餡子脳。無論、人間はここでも答えない。 「ゆうっ、これなんだろ?」 一匹のれいむが、穴の中に落ちていた布切れに気づいた。それは酷く汚れ、ぼろぼろになった黒い布切れだった。 「ゆ・・・ゆゆ・・・こ、これ・・・」 「ゆゆっ!?どうしたのれい・・・む・・・」 覗き込んで来たまりさが、れいむの見つめている布切れを見て、たちまちのうちに顔色が変わった。こんなにもぼろぼろになっても、 見間違えるはずがなかった。 「ど、どすのおぼうしさんだああぁぁ!なんでこんなとこにぃぃ!?」 そして、周囲のゆっくりも別の何かを見つけたようだった。 「あああああああありすのかちゅーしゃがぁぁぁ!ありすはどこおおおおぉぉ!?」 こちらのカチューシャはもう五分の一程度しか形を残しておらず、その残りも酷く変形してしまっていた。 「にんげんさん!?みんなをどこにやっちゃったの!?」 答えの代わりに振ってきたのは、少しねとっとする、妙な匂いの液体だった。 「ゆゆぅ?へんなにおいがするよ?」 そして、何かが放り込まれた瞬間、ゆっくり達の身体に凄まじい熱が襲い掛かってきた。 「ゆぎゃああああぁぁぁぁ!あづいいいいい!だずげでえええぇぇぇぇぇぇぇ!」 瞬く間に何匹かが火達磨になり、そこから次々と炎が燃え拡がっていった。 穴の端に転がり、運よく炎に巻かれなかったゆっくりも、周りに逃げ場などないことに気づくと、すぐさま人間に助けを求めた。 「おねがいじまずううううぅぅぅぅ!ごごがらだじでぐだざいいいいぃぃぃ!」 「まだしにたくないよ!ゆっくりしないではやくたすけてよおおお!」 答えはない。代わりに、新しくゆっくりが投げ込まれ、それらもすぐに炎に包まれた。 「もえちゃう!れいむのきれいなかみがもえちゃうよおおお!ああああああああああああああ!」 「あんよがうごかないよ!まりさたすけてよおおおぉぉぉ!」 「れいむはそこでやかれればいいんだぜ!まりさはゆっくり・・・にげられないよおぉぉぉ!ほのおさんこっちこないでえええ!」 「んほおおおおおおおおおぉぉ!まりさあぁぁぁ!こうなったらすっきりしま・・・ああああ!べにべにがもえぢゃぅぅぅぅ!」 次々と投げ入れられては、火達磨になるゆっくり。村人はときどき棒で動かなくなったゆっくりを広げつつ、油を足してやった。 「いやだああぁぁぁ!やめてよおおおぉぉぉ!ゆっくりさせてええぇぇぇぇぇ!」 「ほのおさんはゆっくりできないいいいぃぃぃぃ!」 「あああああああぁぁ!でいぶのがわいいおぢびじゃんがあああぁぁ!」 「みゃみゃああぁぁぁ!たちゅけてええぇぇ!あちゅいよ!あちゅいよおおおぉぉぉぉ!」 やがて、穴の中は燃え盛るゆっくりでほぼいっぱいになり、端に逃げたゆっくりにも炎が迫っていた。 「お・・・おねがいします。もう・・・にんげんさんにはちかづきません。だから・・・たすけて・・・たすけてください・・・」 もはや最初の頃の勢いも、傲慢さも欠片も残っていない。ただひたすら、涙を流して助けを求めていた。 人間は答えない。そして、その代わりに棒で生き残ったゆっくりを炎へと押し込んでいった。 絶望と苦痛の断末魔を上げて、残ったゆっくり達もまた、炎の中で息絶えていった。 数時間後、炎はようやくおさまり、後には僅かな灰と、かろうじてゆっくりだったとわかる黒こげの物体が折り重なっていた。 その様子を確認してから、村人達は一人を残して帰っていった。 残った青年はまだ少し熱の残る穴へ降りると、棒で突きながら回った。 「お?」 足元に目をやると、まだかろうじて息のあるゆっくりがいた。口をぱくぱくさせているので、何か言っているのだろう。 青年は屈み込んで、そのほとんど炭化しているゆっくりの口元へ耳を近づけた。 「ど・・・して・・・こ・・・な・・・こと・・・ま・・・さ・・・なに・・・わる・・・し・・・ない・・・」 このゆっくり、まりさの言っていたことは本当のことだ。まりさは村に来たドスの群れとは関係なく、つがいのれいむと子供達 とで、静かに暮らしていたのだ。それが人間の言う草抜きで見つかり、捕まり、ここに連れてこられた。 つがいのれいむは籠に入りきらないからという理由で、既に巣の前で叩き潰されていた。 残った子供達も皆、炎に巻かれて苦痛の叫び声とともに消えてしまった。 まりさは何度も何度も叫んだ。やめてくれ、助けてくれ、殺さないでくれ、と。 だが、人間は一度として答えることはなかった。黙って自分達を殺していった。 それでもなお、まりさは聞かずにはいられなかった。何故、自分達がこんな風に殺されなければならなかったのかを。 しかし、結局まりさの最後の問いにも、人間は答えなかった。青年は無言でまりさを踏みつけた。 そして、ばさり、という乾いた音とともに、最後のゆっくりは崩れ去った。 青年は最後のゆっくりを踏み潰してから、ほんの微かにだが、笑った。 あのまりさの問いが、彼にとってはあまりにも滑稽だったからだ。 彼らにとっては、ゆっくりが何をしてようと、あるいは何もしていなかろうと、そんなことは関係のないことなのだ。 単純に、あの山にいるゆっくりは全て潰す、それだけのことだから。 彼らにとってゆっくりは、畑に生えた雑草と同じだ。大切な山の食料を食い荒らし、山の獲物を減らしてしまう。 おまけに、言葉を話す知能があるくせに、言葉を理解しようとしない。 力などほとんど持たないくせに、相手かまわず力を振るおうとする。 知能があるなりに、力がないなりに、それに相応しい振る舞いを微塵もしない。 さらにそれが種族のほんの一部ではなく、ほぼ全部がそうなのだ。 そんなものに生き物としての敬意など、どうしたって払いようがない。雑草ですら、最大限の譲歩だ。 だから、ゆっくりと話などしない。雑草と話など出来るはずもないからだ。 ゆっくりを区別などしない。どんな種類だろうと、どこに住んでいようと、雑草は雑草だからだ。 もちろん、こんな汚らしいもの、食べる気などさらさらない。 そんなわけで、村人は定期的にはもちろん、今回のようにドスが村に来たりしたときにはゆっくりを捕らえ、全て その場で潰すか、村で燃やすかして一掃しているのだ。 とはいえ、ゆっくりは潰しても潰しても、雑草の様にどこからともなく湧き出してくる。百匹潰そうと、千匹潰そうと、 一万匹潰そうとも。それでも、村人はゆっくりを潰し続ける。何度でも、何度でも。 畑を守るのに草抜きが必要なように、山を守るにはゆっくり潰しが必要なのだから。
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fuku1056の続きです 一ヶ月放置した結果がこれだよ!! 「ゆ゙っ!ゆ゙っ!ゆ゙っ!」 以前の爆発事故にも懲りること無く、鈴仙は相変わらずゆっくりの餡子をクチュクチュして反応を記録する実験を続けていた。 「さて、だいぶ記録も集まってきたし今日はこの辺りでやめよう」 「やっとゆっくりできるよ・・・」 餡子をクチュクチュされていたゆっくりれいむも、その言葉を聞いて安心した様な表情を見せたが・・・ 「ではこれより最終実験を行う!」 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!」 酷薄な笑みを浮かべる鈴仙にれいむは戦慄した。 「ココと、ココ、これはこっちか」 実験記録を見ながら、鈴仙はれいむの餡子のツボに針を刺してゆく。 一本針を刺されるごとにれいむは「ゆ゙っ」と短く声を上げ、目や口から色々な汁を滴らせていた。もう意識も朦朧としているようだ。 数分後、れいむは針山饅頭へと姿を変えていた。 「これは様々な刺激を一度に与えるとどうなるかの実験だよ!ゆっくりたのしんでね!!!」 鈴仙はれいむの反応を楽しむつもりだったのだろうが、返事は返ってこなかった。 そんなことはお構いなしに鈴仙は針のうちの数本に電流を流し餡子を刺激した。 「ゆぎっ!!」 途端に激しい反応を見せるれいむ。 「お゙な゙かへっだっ!ね゙む゙いよおおっ!こわいいいいいいいいい!!」 食欲、睡眠欲、恐怖心を呼び起こす。 さらに多くの針に電流を流してゆく。 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!あがちゃんがあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!ずっぎりざぜでえ゙え゙ええええ!!ゆっくりー!」 母性本能、性欲を刺激し、「ゆっくり」させる。 針の電圧を滅茶苦茶に変えてみた。 「うぼあぎゅぶれがあおなあああああ!!れ゙いむのあがじゃんだべでれ゙い゙む゙おなががいっぱいだよお゙お゙れ゙み゙り゙や゙がこわ゙いこわくないこわい゙い゙い゙い゙でいぶのあがじゃんでいぶといっしょにずっぎり゙しようねずっぎりでぎないでぎるずっぎりしちゃうすっきりいいいいいい!!」 「い゙や゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!ぜんぜんゆっくりでぎな゙い゙よ゙お゙お゙お゙お゙お゙ゆっくりできるよ!!ここはれみりやのゆっくりぷれいすだよ!ゆっくりしていってね!!!」 もはやゆっくりはゆっくりしているかどうかさえ自分では選べなくなったのだ。 外部から自分の感情をいじられ、偽の「ゆっくり」さえ与えられる。鈴仙の実験によって、このれいむはこれまでのどのゆっくりよりもゆっくりできない状態に置かれていた。 「ぱっぴっぷっぺっぽおっ!れいむにんっしんっしらうっ!!かれいしゅうじゃねえ!しょうじょしゅうだっつってんだろ!!!おちっこようむ!(挨拶)」 強すぎる刺激に餡子がやられてきたようだ。 「いい感じに壊れて来たわねー」 鈴仙の言葉に反応したのか、れいむの目に一瞬光が戻った。 自分を自分が自分でなくなるような状態にしたのはこの月兎だ。異常な感情の嵐の中で、れいむにはそれだけが感じ取れた。 「どうしてこんなことするのおおおおおおおおおお!!!」 れいむは最後に自分の本当の言葉を叫び、そのまま息絶えた。 試食タイム 「まずい」 訳のわからない味になりました。感情の暴走は意味がない事がわかりました。 その後、鈴仙はゆっくりに極限までの苦痛と恐怖を与え、これまでにないほどの上質な餡子を生み出すことに成功した。 どのような恐怖を与えるかによって味が変わってくるのだが、それを調整するのは加工場の領分だ。 研究の成果はそれだけに留まらず、運動や言語を司る部位を刺激し、ゆっくりを意のままに操ることすら出来るようになった。 さらにゆっくりの感情を抑制することでペットとしての適正を上げることも出来た。知能の強化や餡子に直接知識を刷り込むことも可能だ。 この研究によって、ゆっくりの加工のみならず、幻想郷の姿は大きく変わることになるだろう。鈴仙はそう確信した。 マルチエンディングです。 師匠に成果を見せて、師匠が常識人だった場合→エンド1 師匠に成果を見せて、師匠が外道だった場合→エンド2 うどんげが欲を出した場合→エンド3